キビ産業にIoT活用 徳之島で鹿大が実証事業
2019年03月15日
社会・経済
鹿児島大学は、モノをインターネットでつなぐIoTなど最先端技術を駆使した「サトウキビ産業高度化プロジェクト」を徳之島で始動させた。島内3町のキビほ場に気象観測機器(フィールドサーバー)、役場内に観測データなどを閲覧できる先端農業実証ラボを整備。2021年度まで気象データや衛星画像などを集積して、超省力・高品質生産を実現させるスマート農業につなげる考えだ。
鹿大は文部科学省の2018年度国立大学法人機能強化促進費事業採択を受け同年4月、産学・地域共創センター(センター長・前田広人同大副学長)を設立。21年度までの4カ年で、農林畜産、水産、食品加工など6分野について、南九州・南西諸島域の地域課題を発掘・集約して研究テーマ化し、研究成果の可視化による地域企業の研究開発支援(オープン実証ラボ)、研究成果を活用した事業化(社会実装)を目指す。
同プロジェクトは学内外に設置するオープン実証ラボの一環で行うモデル事業。鹿大の拠点がなく、生産農家の高齢化や人手不足などの課題を抱える徳之島を選定した。徳之島3町と大学が連携する事業は今回が初めて。
フィールドサーバーは2月20日、徳之島町花徳、天城町西阿木名、伊仙町上面縄のほ場に設置。気温、湿度、風速、地温などを定時観測し、2時間ごとに定点カメラでほ場を撮影する。気象データやほ場の写真、鹿大で解析した人工衛星画像は、3町役場内の専用パソコンを通じ、糖業関係者が自由に閲覧できる。
プロジェクト始動に伴い14日、前田センター長ら大学関係者4人が徳之島3町を表敬訪問。3町長らへプロジェクトの概要などを説明し、事業進捗(しんちょく)で▽生育状況の把握による収穫量予測▽刈り取り管理による製糖工場の計画的稼働▽畑かん利用促進に向けた効果検証―などに期待を寄せた。
前田センター長は「こういった研究を通じてサトウキビ産業を継続してもらうことが大事。地域活性化に貢献できれば」と話した。森田弘光天城町長は「バレイショなど他の作物にも応用が期待できると考えている。科学的な見地からデータを蓄積していくことが重要」と述べた。