キビ重要病害の黒穂病 沖永良部島、徳之島で確認

2024年05月18日

社会・経済 

黒穂病で変形し黒く変色したサトウキビの茎(県農業開発総合センター提供、資料写真)

サトウキビの重要病害とされる「黒穂病」に感染したとみられるサトウキビが17日までに、沖永良部島と徳之島で相次いで確認された。奄美群島最大のサトウキビ産地の徳之島での感染確認は1980年代以来とみられ、行政や糖業関係者は島内全域の生産者に対しほ場の確認を呼び掛けるなど警戒している。沖永良部島ではこれまでに関係機関が発病株の抜き取りを実施。今後改めて対策を協議する方針だ。

 

黒穂病はカビが原因の病害で、主にイネ科の植物が感染する。発症したサトウキビは茎の先端部が細長い黒色のむち状になり砂糖原料としての価値がなくなる。予防薬はなく、風雨により感染が広まるほか、採苗した苗も発病するため、感染拡大防止には発病株を根ごと抜き取り焼却することが必要。

 

徳之島では14日に天城町浅間のほ場で黒穂病の症状がある株が見つかり、15日には南西糖業、県、町の関係者が現場を確認。防災無線などで島内全域の生産者へ警戒と情報提供を呼び掛けた。徳之島さとうきび生産対策本部によると17日夕現在、島内で新たな感染株の確認情報はないという。

 

徳之島では1974(昭和49)年に発生が確認され、その後10年以上、感染拡大防止のための防除作業が続いたという。当時を知る森田弘光天城町長は「集落総出で防除作業に追われた。もし同様に感染が広まれば島の経済にとって大打撃になるのは間違いない」と憂慮し、「早急の対策のためにも畑の点検と各役場への情報提供を」と広く協力を求めた。

 

また、沖永良部島では10日に知名町正名のほ場で発病株を確認。13日に関係機関による対策会議を開き、14日から同集落のほ場で発病株の抜き取りを行った。

 

沖永良部さとうきび対策本部によると、17日現在、正名地区の近隣集落や和泊町からも発病が疑われる株の情報が寄せられており、21日にも再度、対策を協議する予定だ。