コーヒーのハウス栽培に着手 高校生が育てた苗を植え付け 伊仙町

2024年05月09日

社会・経済 

コーヒーの苗木を一本一本丁寧に植え付ける徳之島高校の生徒=8日、伊仙町面縄

徳之島高校総合学科生物生産系の生徒らが育てたコーヒー苗の引き渡しと植え付けが8日、伊仙町面縄にある農業用ハウスであった。生徒らの協力は行政、企業、生産者らとの連携事業の一環で、同事業でのハウス栽培は初の試み。関係者約50人で約460本の苗を植え付け今後の成果に期待した。

 

同事業は徳之島コーヒー生産者会、伊仙町、味の素AGF、丸紅が2018年4月に結んだ協定に基づく。島内の複数のほ場で試験生産に取り組んでいる。徳之島高校の生徒らは19年度から育苗に協力している。同日は生物生産系の2年生11人と教諭4人が参加。先輩たちが1年間かけて育ててきた苗を生産者らに引き渡した。

 

苗を植え付けたハウスは屋根が平らな平張りタイプで面積は約10・5アール。島内生産者の農地にAGFが約500万円をかけて整備した。苗は樹高が低く密集栽培に適したパライネマ種と呼ばれる品種。ハウス栽培により、徳之島での生産で課題となっている強い風や日差しの影響を抑える効果が期待されている。

 

参加者らは苗を植え付けるための穴を掘り、1・5メートル間隔で植え付けた。徳之島高校の政岡咲耶さん(16)は「将来はバレイショ栽培をしたいと思っている。作業は大変だけど私たちの学習の一環が生産者のお手伝いになればうれしい」と額の汗を拭った。

 

AGFからは栽培体験と地域支援のために9人が来島して作業に協力した。同社環境ASVグループの臼井孝允さん(42)は「ハウス栽培はわれわれも初めて。露地栽培に比べ初期投資はかかったが成果を出して徳之島コーヒーの生産拡大につなげたい」と展望を述べた。

 

今回植えた苗は3~4年後の収穫を予定。同生産者会の泉延吉副会長(76)は「生産者会も高齢化、人手不足で育苗まで手が回らないのが現状。高校生の協力は本当にありがたい。将来、島でコーヒー生産を志す若者のためにもハウス栽培の成果には注目したい」と期待を込めた。