タンカンの品質統一を 奄美市
2019年04月26日
社会・経済
奄美タンカンのブランドを守るため、生産者、JA、名瀬中央青果㈱、仲買人、小売店などが意見を交わす初会合が24日、奄美市名瀬の奄美市役所であった。約40人が出席し、それぞれの立場から現状と課題を報告。青果市場へ出荷する際も、全ての生産者に事前に選果場を利用してもらい品質統一を図っていくとの意見で一致した。
2018年度タンカンのJA出荷量は6万7665㌔で、13年の同市奄美大島選果場(同市名瀬朝戸)開設以来過去最低を記録。台風24号の被害はあったものの、月時点で生産者が出荷申請していた計画量は約9万㌔あり、多くは買い取り価格が高騰していた市場へ売りに出したと見られる。
このような状況から、JAでは共販先に出荷できずクレームが相次いだ。選果場の運営も、持ち込み量が採算ラインを割り、赤字の事態に陥っている。一方、市場では生産者が選果場を通さずに出荷してくるため、品質にばらつきがあり、奄美ブランド維持に大きな妨げとなっている。
意見交換会で生産者側は市場に出回っている低品質のタンカンの写真を挙げ「これが奄美タンカンとして本土の知人へ送られては奄美ブランドが守れない」と指摘。「市場に出回らないよう青果市場で買取を拒否することはできないか」と提案した。
名瀬中央青果側は「出荷する農家や仲買人などが理解しているならいいが、一方的に買い取りを拒否するのは難しい」と説明。一方で、選果場で選別されたタンカンの外見写真を掲げるなどして生産者への周知に努めるとの意見で一致した。
仲買人は、青果市場に出荷されるタンカンが生産者側で選別されずに持ち込まれる問題を指摘。「1個ずつ糖度が違い、全て測ることは無理。選果場を通して品質が統一されるのが望ましい」として、市場に出回る全てのタンカンを選果場を通すよう取り組むことを求めた。
生産者からは、規格外のものも買い取ってもらえるよう「加工用の施設を設けることも急務だ」との意見もあった。
JAあまみ大島事業本部果樹部会の平井孝宜さん(37)は「奄美ブランドは一人の農家が個人でやっても広がらない。JAや市場と一体となって取り組まなければ効果はない」と話した。
会合は今後も年に1~2度開くことを申し合わせた。