タンカン生産安定へ 単収向上対策、課題を共有 奄美大島

2023年10月04日

社会・経済 

生産性向上の取り組みや課題について情報共有した奄美地域たんかん生産安定対策協議会の会合=3日、奄美市名瀬

奄美地域たんかん生産安定対策検討会(県園芸振興協議会主催)が3日、奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)で始まった。生産者代表や行政担当者、JAなど約60人が出席。県内各産地におけるタンカンの生産性向上の取り組みや今後の振興に向けた課題などについて情報共有し、隔年結果対策や施肥体系の改良など単収向上への技術改善策に理解を深めた。

 

県内の直近4年間のタンカン生産状況は栽培面積が増加傾向にあるが、生産量は年次間差が大きい。協議会各支部で隔年結果対策や新規栽培者への技術向上などに取り組んでおり、検討会は各支部の取り組みの共有などを目的に初開催した。

 

県のたんかん振興計画説明に続き、南薩、屋久島の生産の現状や課題を担当者が報告した。その後、県大島支庁農政普及課主幹兼係長の松尾至身さんと徳之島事務所農業普及課技術専門員の能口憲彦さんが、それぞれ大島支部と徳之島支部の生産性向上に向けた取り組みを報告した。

 

松尾さんは低樹密植栽培方式による早期多収や着果管理の実践、有効施肥体系の実証など8項目の技術改善対策、「奄美たんかんガイドブック」の配布や各種研修会の開催など5項目の人材育成・環境整備対策を紹介。「まだまだ技術改善できる部分が多く、産地として伸びしろがある」と訴えた。

 

能口さんはゴマダラカミキリムシの防除法確立や摘果実証による隔年結果対策、今年度開始した新規栽培者向け講習会などの取り組みを発表した。

 

意見交換では、隔年結果対策について質疑があった。各支部の技術専門員は「9月中に摘果を終え、適正着果数にすることがポイント」「発芽と着花のバランスを取り、荒摘果時に横径20ミリ以下を落とす」などとアドバイスした。

 

産地の技術力向上として「生産者相互で園地を定期的に視察し、栽培管理をチェックする体制づくりをすることで栽培技術の底上げを図れる」などの提案もあった。

 

4日は奄美市内のタンカン園地3カ所を訪れ、施肥の分散や低樹密植栽培方式による収量の変化、新規栽培者のほ場の現状について現地検討を行う予定。