不安は払拭されず 安田市長、オスプレイ懸念 防衛局が飛行再開説明 奄美市

2024年03月29日

社会・経済 

九州防衛局の関係者と面会する安田壮平市長(右)=28日、奄美市役所

今月14日から在日米軍が保有する輸送機オスプレイの飛行が再開されたことを受け、九州防衛局の遠藤敦志企画部長らが28日、奄美市役所を訪問。安田壮平市長に改めて、防衛省が公表している屋久島沖でのオスプレイ墜落事故の原因と飛行再開の経緯、再発防止策などについて説明した。面会後、取材に応じた安田市長は「説明を受け一定の理解は進んだ」としつつ、「完全に疑問なり不安が払拭(ふっしょく)されたわけではない」と述べた。

 

市によると、今月13日、オスプレイの段階的な飛行再開についての説明が、九州防衛局から市に文書で届いた。市側は「説明が十分ではない」として直接説明を求めていた。今回の面会は防衛局側が市の求めに応じた形。冒頭以外は非公開で約50分間行われた。市長らによると、すでに防衛省が公表している資料に基づき詳しい説明を受けた。

 

面会後、安田市長は「オスプレイの飛行再開については段階的に活動範囲を広げるということで、すぐに奄美に飛んでくるわけではないようだ。だが、これまでも低空飛行だったり、市街地の上空を飛んだりして騒音や振動など迷惑を被っている。万一、機体トラブルになった時に被害を拡大させないためにも、極力、市街地は避けて飛行するよう重ねて要請した」と述べた。

 

九州防衛局幹部が来庁し、直接説明したことには「評価すべきと思うが、本音はもっと早い段階でしていただきたかった」と語った。

 

市長との面会後、遠藤企画部長は「私どもとして現時点で説明できる内容は丁寧に説明させてもらい、市長からは住宅街の上を必要以上に飛ばないでといった要望があった。いずれにせよ市民の皆さんの心配な点に対しては、これからも丁寧に対応していく必要があり、奄美市ともしっかり連携し、対応させてほしいということを伝えた」と話した。「米軍の事故調査委員会の最終報告書が出た際には再度しっかり説明させていただく」とも述べた。

 

事故は昨年11月29日、屋久島沖で発生。東京・横田基地配備のオスプレイが岩国基地(山口県)から嘉手納基地(沖縄県)に向かう途中で墜落し、搭乗していた米兵8人が死亡した。

 

事故を受け、世界全域でオスプレイの飛行は一時停止されていたが、不具合が生じた機体の部品を特定し、運用手順の変更など再発防止策を取ることで安全に飛行できると判断し、日本国内では今月14日から段階的に飛行が再開されている。