与論で瞬間風速38㍍ 施設損壊、道路陥没も 台風6号

2023年08月03日

自然・気象

高波が押し寄せる和泊港=2日午後3時半ごろ、和泊町

大型で非常に強い台風6号は2日夕にかけて、奄美地方南部を風速25メートル以上の暴風域に巻き込みながら沖縄本島の南西海上を時速15キロで西北西へ進んだ。最大瞬間風速は与論島で8月としては観測史上最も強い記録に並ぶ38・1メートル(午前0時18分)に達するなど、奄美群島は南3島を中心に強い風が吹いた。同日午後5時現在、けが人は3町計3人。空き家や農畜産業施設の損壊、海沿いの道路陥没なども確認された。台風は東シナ海で速度を落としながら進路を変え、5日以降に奄美地方へ再接近する恐れがある。

 

台風は2日午後6時現在、沖縄県久米島の西約100キロにあり、中心気圧935ヘクトパスカル、中心付近の最大風速45メートル、最大瞬間風速65メートル。中心から東側280キロ以内と西側220キロ以内は暴風域、中心から北東側600キロ以内と南西側500キロ以内は風速15メートル以上の強風域に入っている。

 

奄美地方は2日、前日に暴風域に入った南部を中心に強い風が吹いた。最大瞬間風速は和泊町で午前11時40分に27・3メートル、伊仙で同6時42分に27・0メートル、天城で同9時22分に26・7メートルを観測。奄美大島各地でも20メートルを超えた。

 

人的被害は1日から2日にかけて瀬戸内町、和泊町、知名町で各1件。いずれも高齢者が屋外で風にあおられ転倒、負傷した。

 

与論島では農業用ハウス4棟と空き家1棟が倒壊し、牛舎1棟が一部損壊。弓道場の屋根が飛ばされた。奄美市名瀬では海岸沿いの漁業管理道路が一部陥没した。

奄美地方は南部が2日夜までに暴風域を抜けたとみられ、3日は台風の中心が遠ざかる見込み。3日に予想される最大瞬間風速は北部、南部ともに30メートル。海上はうねりを伴い波の高さは北部、南部ともに6メートルの大しけとなる見込み。大潮の時期と重なるため高潮も懸念される。

 

台風本体や周辺の暖かく湿った空気の影響で大気の状態が不安定となり、奄美地方では3日夜遅くにかけて局地的に激しい雨が降る見込み。降水量は多いところで1時間30ミリ、3日午後6時までの24時間で北部80ミリ、南部100ミリと予想されている。

気象庁によると、台風は先島諸島の北の海上で停滞した後、進路を北寄りに変え強い勢力で東シナ海を北東へ進む見込み。予報円は大きいが、中心付近を進めば奄美地方にかなり接近する恐れがある。引き続き最新の情報に注意が必要だ。