医療関連の体制充実へ 沖縄との連携関連事業は継続 県予算・奄美関係

2025年02月08日

社会・経済 

2025年度一般会計予算

鹿児島県は7日、2025年度当初予算案を発表した。奄美関係では離島・へき地における遠隔医療推進事業、急患搬送用備品整備など、医療関連の体制充実に向けた新規事業を組み込んだ。沖縄県との連携強化を見据え、前年度にメニューを拡充した航路・航空運賃軽減事業や農林水産物輸送コスト支援事業などを継続したほか、今年にもトンネル本体工事が始まる国道58号おがみ山バイパス事業の関連予算を盛り込んだ。

 

新規の離島・へき地における遠隔医療推進事業は、離島・へき地に複数のモデル地域を選定してICT(情報通信技術)を活用したオンライン診療を実証し、遠隔医療導入の課題を検討する。

 

急患搬送用備品整備事業は、夜間時の離島急患搬送体制の充実を図るため、喜界、沖永良部、与論の3空港にヘリポート用の可搬式夜間照明設備の整備などを行う。

 

遠方の分娩(ぶんべん)施設への交通費等支援事業では、今年度から実施している出産に伴う交通費、宿泊費の助成に加え、新たに妊婦検診でも交通費の8割を助成する制度を拡充する。

 

伝統的工芸品総合対策事業では、新規に県外の一般消費者や発信力の高いインフルエンサーを対象とした大島紬産地モニターツアーを計画。伝統的工芸品のインバウンド(訪日外国人)需要に対応するため、海外での展示会出展など海外マーケット市場の開拓に向けた取り組みを支援する。

 

奄美黒糖焼酎を含む日本の「伝統的酒造り」の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録を生かして認知度向上や輸出拡大を図るため、海外の酒類事業者などを対象に製造技術や焼酎文化の体験事業を展開する。焼酎の価値を伝える多言語のPR動画を制作し、海外での見本市や知事のトップセールス時に上映する。

 

世界自然遺産関連では、奄美世界自然遺産保全・活用推進事業で、15年度に策定した奄美群島持続的マスタープランを25年度に改訂する。希少野生生物調査事業では、県内の絶滅危惧種の最新状況把握のため、専門家の知見を元に調査やデータ整理を行い、27年度の県レッドデータブック改訂を目指す。

 

道路整備では国道58号おがみ山バイパス事業に20億円超の予算を計上。トンネル本体工事のほか、やトンネル周辺の道路改良工事を行う。24年12月末時点の用地買収率は96%。県道名瀬瀬戸内線伊目工区では、3月22日に眞久慈(まくじ)トンネルの供用開始を予定しており、25年度は久慈側坑口周辺の橋梁(きょうりょう)工事を計画する。

 

空港整備では奄美大島、徳之島、与論の3空港で滑走路端安全区域の整備を継続。奄美空港で誘導路の改良工事に着手する。港湾整備では亀徳、和泊、湾各港で引き続き防波堤整備を進めるほか、名瀬港本港区で1号岸壁の改良と旅客ターミナルの整備を行う。

 

奄美群島振興交付金を活用した関連事業も継続する。奄美群島の住民や出身者らを対象にコスト負担を減らす航路・航空運賃軽減事業に総額12億1098万円、農林水産物輸送コスト支援事業に5億6888万円を盛り込んだ。地域の裁量に基づく産業振興の取り組みを支援する成長戦略推進交付金は9億1501万円を計上した。