収穫シーズンの到来祝う パッション出発、収穫式 奄美大島、徳之島

2024年06月11日

社会・経済 

赤紫に色付いたパッションフルーツを収穫する合同会社奄美の里山悠斗代表=10日、瀬戸内町

奄美に初夏の訪れを告げる果樹パッションフルーツの出発式、収穫式が10日、それぞれ奄美大島と徳之島であった。今期の生産量は日照不足などの影響を受けて、奄美大島では減産が見込まれるものの、徳之島は前年並みを維持する見通し。両島の式典には生産者や行政職員らが多数出席して収穫や試食を行い、本格的な収穫シーズンの到来を祝った。

 

パッションフルーツを皇室に献上している瀬戸内町では10日、瀬戸内パッションブランド産地協議会(里山正樹会長、会員26人)が同町阿木名のハウスで出発式を開いた。式典には会員や行政関係者ら約30人が出席。ハウスで収穫した果実を試食して品質に自信をのぞかせた。

 

町農林課などによると、同協議会加盟農家が栽培する「瀬戸内パッション」の今期の町内での栽培面積は2・6ヘクタール。開花期の2月下旬から3月にかけた日照不足に加え、2月の高温、3月の低温で着果が不安定となり、生産量は前年度比4・7トン減の33・8トンを見込む。

 

出発式で里山会長(51)は「今期は減産が予想されるが会員同士さらに切磋琢磨(せっさたくま)し、高品質なパッションフルーツ産地づくりに努めていく」とあいさつした。

出発式が開かれたハウスを管理する合同会社奄美は今期、約7トンの収穫を見込む。里山悠斗代表(21)は「甘味と酸味のバランスが瀬戸内パッションの特徴。昨年より収穫量は減るが、味は今年も自信がある。全国の人に食べてもらいたい」と語った。

瀬戸内パッションは4月下旬から収穫が始まり、7月下旬まで続く見込み。今月14日に宮内庁への発送を予定している。

 

収穫を待つパッションフルーツを手に笑顔を見せる出席者代表=10日、徳之島町花徳

JAあまみ徳之島地区果樹部会主催のパッションフルーツ収穫式は10日、徳之島町花徳のほ場であった。島内の生産者やJA、県などから約30人が参加。今期の共販目標に出荷量4トン、販売額540万円を掲げ、達成へ向けて関係者一同で結束を固めた。

 

今期の同部会のパッションフルーツ生産者は15戸(前年比3戸増)で共販栽培面積は計123アール(同16アール増)。前年の共販実績は3・772トンで販売金額は511万9千円だった。今季は年始の高温と2~3月にかけての日照不足で着花率が低下したものの、質、量ともに前年並みとなる見込み。

 

収穫式は内山敏宗さん(78)=同町花徳=のほ場で開催。開会のあいさつで県大島支庁徳之島事務所農業普及課の松本徹課長は「県のパッションフルーツの生産量は全国の約6割を占め、品質も他県に劣らないと自負している。消費者に手に取ってもらえるように外観や実詰まりの向上にも力を入れてほしい」と生産者らを激励した。

 

代表者によるはさみ入れの後には試食会も開いてパッションフルーツ特有の爽やかな酸味と香りを確かめた。同果樹部会の貞山博一会長(41)は「内山さんのほ場では作業効率向上のための新しい植え方を試してもらったが着果数にも良い影響が出ている。今後も技術の普及に努めて生産者の所得向上につなげたい」と意欲を語った。

 

今期の徳之島のパッションフルーツの出荷計画では収穫は6月の3トンがピークで8月ごろまで続く見込み。