同室避難の協定締結 3地区に専用の避難所指定 ペット防災の会と奄美市

2024年05月15日

社会・経済 

協定を結んだ奄美市の安田壮平市長(左)と、奄美大島ペット防災の会の久野優子会長=14日、奄美市名瀬

地元の獣医師やペット愛好家らでつくる「奄美大島ペット防災の会」(久野優子会長)と奄美市は14日、「災害時におけるペット同室避難に関する協定」を結んだ。市は名瀬、住用、笠利の3地区それぞれで、飼い主とペットが同室に避難できる専用避難所を指定。災害発生時はペット防災の会が中心となり、避難所の管理運営を行う。

 

協定は、全国各地で大規模な災害が頻発する中、ペット連れを理由にした避難所への避難控えや、車中泊による健康被害などを防ぐための取り組み。

 

奄美市にはこれまでも、ペットと同室避難できる避難所の確保を求める要望が島内外のペット愛好家などから寄せられており、実現に向けて関係者間での協議、検討が行われていた。

 

市では2023年10月、笠利町の太陽が丘総合運動公園武道館で、初のペット同室避難の訓練を実施。24年1月には市の支援を受け、地元のペット愛好家らによる奄美大島ペット防災の会が発足した。

 

避難所の本格的な運用に向け、両者間の協議が整い、今回の協定締結に至った。市役所であった協定締結式で安田壮平市長は「まだまだ課題も多いが、これをスタートとして走り出し、一緒に乗り越えていけたら。今後もペットと飼い主が安心して生活できる環境づくりに取り組んでいく」などとあいさつ。

 

久野会長(50)は「やっと土台ができただけで、まだ始まったばかり。資金も、人材も限られた中での活動で、飼い主の皆さん一人ひとりの理解と協力が必要。飼い主の方への周知啓発など今後も市と協力しながら取り組んでいけたら」と述べた。

 

奄美市のペット同室避難が可能な施設は▽名瀬運動公園体育館更衣室▽住用公民館2階ホール▽太陽が丘総合運動公園武道館。ペットは必ずキャリーケースやケージに入れて連れていく。

 

ペット防災の会は、今月26日に奄美市で開かれる県主催の総合防災訓練にも参加。名瀬運動公園体育館更衣室でペット同室避難所の開設訓練を行う。