大島紬の技術継承へ 機織り工房オープン 奄美市名瀬
2020年10月15日
社会・経済
本場奄美大島紬協同組合(牧雅彦理事長)は9月、奄美市名瀬の紬会館4階に機織り工房を開設した。自宅で紬を織ることが難しい織り技術者に働く場を提供し、後継者の育成を図る。利用料は織り機1台で月3000円。同組合は「長年培った技術を継承し、将来的には観光客が大島紬に触れる場として開放したい」としている。
機織り工房は、織り技術者から「紬を織りたいけれど場所がない」と要望を受けて、同組合の理事会で設置を決めた。移転した本場奄美大島紬技術専門学院があったスペースに織り機9台を用意。現在3人の織り技術者が利用している。
工房に通う伝統工芸士の日髙ミスエさん(73)=奄美市名瀬=は「県営住宅では音が響くので難しい。織る場所ができてありがたい」と喜ぶ。「機織りは楽しみながらできる仕事。紬好きの仲間を誘っている。昔の工場のように、みんなで集まって楽しくしたい」と笑顔を見せた。
高齢化で大島紬の織り技術者は減少している。同組合の伊東隆吉専務理事は「大島紬の技術を絶やさないため、技術者が集まる場所になればと開設した。学院で習った人も、一緒に織ることで経験豊富な人から教わることができると期待している」と話した。
問い合わせは電話0997(52)3411本場奄美大島紬協同組合へ。