大雨被災地、気が抜けぬ夜に 避難指示は継続のまま 瀬戸内町・久慈

2023年08月07日

社会・経済 

避難所に身を寄せる介護事業所の利用者ら=6日、瀬戸内町

6月の大雨災害による爪痕が癒えないまま、台風6号の暴風域に入った瀬戸内町久慈集落(62世帯93人)では6日、少しの雨や風でも災害の危険度が高まるとして避難指示が継続された。

 

晴れ間ものぞく正午すぎ、同集落の小勝では、河川の水位を確認する人や水害対策の土のうを積み直す人の姿があった。追加対策に追われていた四本泉さん(69)は「昨夜は大雨時と比べて雨量が少なく、家屋への被害などはなかった。ただ、川底に堆積した土砂の撤去が完了しておらず、満潮時に道路の一部で冠水が見られ、心配は続く」という。

 

農作物が気がかりな様子の住民も。6月の大雨でタンカンなどを栽培する畑に裏山から大量の土砂が流れ込む被害にあった広野裕介さん(37)は「沖縄地方での被害のニュースを見て警戒を強めていたが、現時点では被害の拡大などはない。ただ、自身は台風前にドラゴンフルーツの出荷が終えられて良かったが、同業者からマンゴーが出荷できないという悲鳴に心が痛む」と語った。

 

集落の避難所として解放する公民館には、小規模多機能型居宅介護支援事業所「ルリカケス」の利用者8人が身を寄せていた。管理者の静島良樹さん(56)は「大雨災害では、事業所横を流れる河川が氾濫したため、早めの避難となった。昨夜は『眠れない』『帰りたい』といった声もあり、環境の変化で健康状態が悪化しないか、懸念している」と話す。

 

武田政文区長は(79)は「夜間避難の危険性を考え、早めに避難を呼び掛けた。翌朝にかけて線状降水帯が発生する恐れがあるとの情報も入っているため、段ボールベットなども補充し、多くの人が避難しても対応できるように避難所を整えている」と述べた。