奄美の価値高める事業に活用 世界遺産財源創設検討委 奄美市

2024年02月28日

世界自然遺産

新たな財源創設に向け、宿泊税などを議論した財源創設検討委の第3回会合=27日、奄美市名瀬

世界自然遺産の価値を維持するためなどに必要な財源の確保について話し合う奄美市の「世界自然遺産に関する新たな財源創設検討委員会」(委員長・松田忠大鹿児島大教授、委員9人)の第3回会合が27日、奄美市役所であった。新たな財源検討に関する論点整理と制度設計に向けた意見交換を実施。「新たな財源は環境保全に限らず、それに関連する観光振興など奄美の価値を高めるための事業に活用していく」との考えを共有した。2024年度も引き続き3回の検討会を開き、新たな財源について議論。同年度中に検討報告書をまとめる。

 

過去2回の会議で、自治体が条例を制定して独自に課税する「法定外税」のうち、宿泊施設に泊まる人から徴収する「宿泊税」を優先的に議論していくことを確認している。

 

宿泊税導入に当たっては、「市民と特別徴収義務者(宿泊事業者)、納税義務者(宿泊者)の3方に対し、税の目的や使い道を分かりやすく示す必要がある」といった委員意見を踏まえ、会合では事務局作成の資料を基に、改めて論点整理に取り組んだ。

 

一部の宿泊事業者へ聞き取りしたという委員は「新たな税が観光振興にも使われるという確約があれば、ぜひ協力したいといった前向きな声も聞いている」と紹介。別の委員は「特別徴収義務者の事務経費負担など、宿泊税の中から還元できる仕組みがあってもいい」などと意見を述べた。

 

制度設計に関しては、宿泊税を導入している全国9自治体の税率や徴収方法について、事務局がまとめた資料を基に議論。「関係者により分かりやすいよう、複雑な制度設計よりもシンプルな方がよいのでは」といった意見があった。

 

次回は論点整理と制度設計のための意見交換を継続する。その後、関係者(宿泊事業者などを想定)からの意見聴取を経て検討報告書についての協議に入る。