奄美北部中心に大荒れ 台風19号
2018年08月22日
社会・経済
台風19号の接近に伴い奄美地方は21日、北部を中心に大荒れの天候となった。奄美市名瀬の店舗で同日夕、30代女性客が割れた窓ガラスで指を切る軽傷を負った。6市町村で避難勧告や避難準備情報・高齢者等避難開始情報が出され、高齢者らが安全を確保するため地域の公民館などに身を寄せた。空、海の便の欠航も相次ぎ、空港は足止めされた帰省客や観光客らでごった返した。サトウキビなど農作物への影響も懸念される。各地で停電も発生し、住民は不安な夜を過ごした。
▽117世帯183人が自主避難
台風19号の接近を受けて奄美大島と喜界島の6市町村は21日午後2時までに、住民に対する避難準備・高齢者避難開始情報を発令し、大和村は午後5時20分、避難準備情報を避難勧告に切り換えた。各市町村によると、午後9時現在、6市町村で計117世帯183人が地区の防災センターや公民館などに避難している。
午後9時現在の避難者数は▽奄美市45世帯74人(名瀬25世帯41人、住用5世帯6人、笠利15世帯27人)▽大和村32世帯48人▽宇検村12世帯13人▽瀬戸内町9世帯11人▽龍郷町8世帯23人▽喜界町11世帯14人。
台風の勢力の大きさに不安を抱き、午前中に自宅近くの公民館に避難する住民も。龍郷町戸口の松原ヨネ子さん(78)と栄ジツ子さん(79)はともに一人暮らし。午前10時半ごろ、誘い合って中戸口公民館に避難した。
松原さんは「最初は夜の避難を考えていたが、19号はとても強いと聞き不安が強くなった」、栄さんは「雨や風の音を聞くだけで心細くなる。少しでも早く過ぎ去ってほしい」と話した。
▽4市町村1万7900世帯が停電
台風19号の接近に伴い、奄美群島は北部を中心に広い範囲で停電が発生した。九州電力鹿児島支社によると、21日午後9時現在、4市町村1万7900世帯が停電となっている。
市町村別の世帯数は▽奄美市7300世帯(停電率21・9%)▽大和村1400世帯(同97・9%)▽龍郷町3900世帯(同85・5%)▽喜界町5300世帯(同84・8%)。
同社は同日午後2時、鹿児島支社内に非常災害対策本部を設置した。住民に、切れた電線や倒れた電柱などには近付かないよう注意を喚起するとともに、同社が把握している地域以外でも家屋への引き込み線の断線で停電している場合があるとして、最寄りの九州電力への連絡を呼び掛けている。