奄美大島 ミカンコミバエ初動防除終了
2018年09月28日
社会・経済
今年6月に奄美大島と加計呂麻島、徳之島、、沖永良部島の5町6地点で誘殺が確認された果樹・果菜類の害虫ミカンコミバエの初動防除が18日までに終了した。2015年の緊急防除省令で青果物の島外移出が規制された奄美大島では3年ぶりに誘殺が確認され、関係者は民間への情報周知やテックス板の増設など、行政による早期の対応を評価。一方、誘殺確認時の寄主植物撤去といった面で民間の危機意識の低下を懸念する声も出ている。
15年12月13日に施行されたミカンコミバエ緊急防除省令では、収出荷時期を迎えた奄美大島産のタンカンやポンカンの島外移出が島内北部産を除いて禁止され、生産者は被害の拡大防止へ果実の土中埋設処分を余儀なくされた。
今年、町内2カ所で誘殺が確認された瀬戸内町の農林課は「前回(15年)は情報周知の遅れなど対策が後手に回ったが、今回は誘殺確認後の初動対応も迅速だった」と評価。同町の果樹生産者(60)は「最初はやや心配したが、国、県による初動防除の動きも聞いており、大きな不安はなかった」と話した。
ミカンコミバエの侵入防止や誘殺確認時の防除策として、国、県は16年、防除マニュアルを作成。平時の誘殺トラップ増設や初誘殺確認後の速やかな初動防除、各市町村と連携した寄主植物分布情報のデータ化などを盛り込んだ。こうした取り組みも、地元関係者の不安軽減につながったとみられる。
一方で、大島海峡を挟んだ町内2カ所で誘殺が確認されたことから、同課は「他の場所でも(ミカンコミバエが)見つかるのではないかとの懸念もあった」とも明かした。
JAあまみ大島事業本部果樹専門部会の大海昌平部会長(63)は、青果物の移出規制に追い込まれた前回(15年)と比較。行政の対応の迅速化の一方で「前回はバンジロウ(グアバ)などの寄主植物撤去などに地域ぐるみで取り組んだが、今回は民間の積極的な動きが見えなかった。行政頼りで、民間の危機意識が低下しているように見える」と指摘。
その上で「ミカンコミバエの誘殺は今後も続く可能性が高い。出荷規制で果樹の自主廃棄を強いられたことを忘れず、誘殺が小規模であっても高い関心を持つことが重要」と訴えた。