希少ソテツ盗難相次ぐ 被害者怒り、被害届を提出 徳之島町
2023年06月15日
社会・経済
徳之島町で「シシソテツ」と呼ばれる希少なソテツの盗難が相次ぎ、被害者らが怒りの声を上げている。シシソテツは愛好家の間で高値で取り引きされており、被害者の一人で園芸業を営む熊元与八郎さん(61)=花徳=は「明らかに価値を知っていて営利目的で盗んでいる」と指摘。「他の生産者も被害に遭っているため、警察に被害届を提出した」と話し、心ない行為に憤っている。
シシソテツは、成長の異常により幹がこぶのように変形したソテツ。栽培歴40年以上の熊元さんは「経験から推測すると、500株に一つあるかないか」と希少性の高さを説明。状態が良いものだと100万円近い高値が付くこともあるという。
盗難は同町の母間や花徳で多く発生。町内に十数カ所ある熊元さんの畑では、農道近くにあったシシソテツ2株が被害に遭った。一つはこぶ状に変化した幹の上部を切り取られ、もう一つは根ごと掘り返して持ち去られていたという。熊元さんは「ソテツ畑にはハブも多いが、除草などの管理作業が必要。ここまで育つのに15年はかかるのに」と悔しさをにじませた。
町内でのソテツ盗難は以前から確認されており、熊元さんが知るだけでも近隣で被害に遭ったのは約80株。熊元さんの父親の形見の盆栽や庭石も含まれているという。
熊元さんは「庭石などは複数人で重機や車両を使わないと盗めない。悪質にもほどがある。れっきとした犯罪なので今すぐやめてほしい」と訴えた。