持続可能な観光セミナー 瀬戸内町
2020年01月19日
社会・経済
「持続可能な観光セミナーⅡ―奄美大島での実践」(奄美の自然を守る会、奄美せとうち観光協会主催)は18日、瀬戸内町きゅら島交流館であった。3人の講師が講演。環境、住民、経済、観光客それぞれが守られた状態がサステイナブルツーリズム(持続可能な観光)とし、「奄美に合った観光の選択肢を外の人とも協力しながら奄美全体で考え、選択して」と住民一人一人が考える事の大切さを強調した。
公益財団法人日本交通公社上席主任研究員の中島泰氏は観光地の診断ツール(健康診断)を導入した沖縄の取り組みを紹介。環境、住民、経済、観光客のいずれも健康であることが重要とし、「地域が自律的に健康診断し、自分たちにとっての健康を自分たちで判断して」と訴えた。
中村学園大学准教授の前嶋了二氏はマーケティングの視点から奄美の観光動向を分析。観光を推奨する担い手となる出身者やリピーター観光客、奄美での勤務経験者など、関係人口の構築に重点を置いた観光政策を提言した。
WWF(公益財団法人世界自然保護基金)サンゴ礁保護研究センター長の小林俊介氏は石垣島の持続可能な観光利用に関する自主ルールづくりを紹介。「地域の自然環境や社会状況に根差した仕組みが必要。予防原則として観光客の流入数の管理体制や事前のルールづくりが好ましい」などと助言した。
セミナーは昨年に続く2回目の開催。町内外から70人が来場して熱心に耳を傾けた。質疑応答では、持続可能な観光を進めるに当たり地元住民の満足度を下げない方法や、奄美に合ったクルーズ船観光の在り方などについて質問があった。