新型コロナ、奄美観光にも影響
2020年03月18日
社会・経済
新型コロナウイルスの感染拡大で、奄美大島の観光関係にも影響が出ている。政府がイベントなどの自粛を求めた2月26日以降、ホテルや集宴会場では予約のキャンセルが相次いだ。「展望が見えない」「(書き入れ時の)5月の連休までに終息するのか」という不安も聞かれ、観光関係者は旅行客のさらなる減少に危機感を募らせている。
政府は2月26日、全国的なスポーツ、文化イベント等について「今後2週間程度」の中止や延期、規模縮小などの対応を要請。3月10日には「おおむね10日間」の延長を発表した。
催しの中止や延期による需要の落ち込みで、航空各社も減便を実施。奄美関係では、日本航空(JAL)グループが6~28日に鹿児島と奄美各島を結ぶ便など計119便の減便を決めた。
奄美市名瀬の集宴会施設では、例年50件程度の予約がある3月の送別会がほとんどキャンセルとなった。3月上旬から団体旅行なども中止や延期が相次いでいるといい、担当者は「うちだけではなく日本全体のことなのでなんともしがたい。今は世の中の動きを注視するしかない」と話した。
同市名瀬のホテルは団体・個人の予約数が例年より2割程度減少した。副支配人の男性は「2月頭からキャンセルの連絡が出始めたが、政府の自粛要請後一気にきた」と語り、「この時期は卒業旅行や春休みシーズンでいつもなら満室状態なのに」と肩を落とした。
団体客が月の3分の1を占めるという瀬戸内町のホテルの担当者も「2月後半から一気にキャンセルが増えた。自粛要請が延長になったのも大きなダメージだ」と話した。
一方、同町古仁屋にある観光案内所には、5月の連休や夏に向けて問い合わせが増えているという。既に5月の予約が入っている宿泊施設などもあり、観光関係者からは「奄美全体では国内旅行者の割合が多く、国内情勢がある程度落ち着けば客足も回復するのでは」と期待も聞かれた。
ただ、「5月の連休までに終息するか分からない。長期化すれば打撃が大きい」「国内全体で景気が悪化すれば旅行が減って経済影響も長くなるのでは」と新型コロナウイルスによる影響の長期化を懸念する声も高まっている。