日米共同訓練「オリエント・シールド」奄美駐屯地

2022年09月01日

社会・経済 

訓練で展開した米陸軍の高機動ロケット砲システム「ハイマース」=31日、奄美市名瀬

陸上自衛隊と米陸軍による日米共同訓練「オリエント・シールド(東洋の盾)」は31日、奄美大島で対艦戦闘訓練があり、その一部が奄美市名瀬の陸自奄美駐屯地で報道陣に公開された。米陸軍の高機動ロケット砲システム「ハイマース」と「第1マルチ・ドメイン・タスクフォース(MDTF)」の電子戦部隊を同島で初めて展開。サイバー空間を含む領域横断的な作戦を行い、島しょ地域の防衛に関わる日米の連携を深めた。

 

オリエント・シールドは毎年1回、国内で実施。陸自と米陸軍が各指揮系統に従って共同作戦を行い、対処能力の向上を図る。今年は陸自約1400人と米陸軍約700人の計約2100人が参加し、8月14日~9月9日の日程で、九州の陸自施設などで実施されている。

 

奄美大島での訓練は8月28日から9月3日までに行い、陸自約200人、米陸軍約50人が参加。日本の周辺海域に敵艦が攻め込んだ想定で、健軍駐屯地(熊本市)の日米共同指揮所と情報共有し、奄美大島に攻撃態勢を敷くまでの流れを実践する。南西海域で活動を強める中国を念頭に置いた作戦とみられる。

 

初めて奄美大島に持ち込まれた「ハイマース」は、軍事車両にロケット弾の発射システムを搭載した兵器。少人数での操作が可能で、従来のロケット砲よりも機動性が高く、GPSを使って高い精度で標的を攻撃できるとされる。ロシアの軍事侵攻を受けたウクライナに米軍が供与した。

 

奄美駐屯地での訓練では、現地の12式地対艦誘導弾部隊と米陸軍ハイマースが展開する動きを確認。さらに電磁波による情報収集・攻撃妨害などの機能を備えた第301電子戦中隊(健軍駐屯地)、米陸軍MDTF電子戦部隊も展開し、作戦を通じて連携を図った。

 

奄美大島での日米共同訓練実施は2019、21年に続いて3回目。陸自奄美駐屯地、瀬戸内分屯地以外の地域にも陸自レーダーなど一部装備が展開される。

発射準備を整えた陸自12式地対艦誘導弾部隊(奥)と発射位置へ向かう米陸軍ハイマース=31日、奄美市名瀬の奄美駐屯地