登録者662人に 陸自隊員の協力で増加 緊急時供血者登録制度

2024年05月29日

社会・経済 

緊急時供血者登録制度について情報を共有する関係者=28日、奄美市名瀬の県大島支庁

2024年度「奄美大島地区緊急時供血者登録制度連絡協議会」(会長・相星壮吾名瀬保健所長)が28日、奄美市名瀬の県大島支庁であった。23年度の供血者登録者数は662人で前年同期比123人増。名瀬保健所によると、増加の要因は陸上自衛隊隊員の協力が大きいという。

 

緊急時供血者登録制度は、緊急患者発生時に病院での採血に協力できる人をあらかじめ登録しておく制度。奄美大島地区の医療機関が備蓄している血液製剤が不足し、かつ県赤十字血液センター(鹿児島市)からの血液輸送が間に合わない時に行う緊急輸血で、院内血(生血)を迅速に確保することが目的。

 

23年度の活用事例は2例。1例目はB型男性1人。多発性外傷で午後4時に県立大島病院が5人分の供血を依頼。7人の供血協力を受け4人から採血。院内在庫の血液製剤のみで容体が安定したため使用には至らなかった。

 

2例目はO型女性1人。術後出血があり、午後6時46分に県立大島病院が3人分の供血を依頼。3人の供血協力を受け3人から採血し1人分の血液を使用した。

 

28日の連絡協議会には陸自が初めてオブザーバー参加。奄美警備隊の松田直樹一尉は「自衛隊として献血と供血者登録には積極的に参加させていただきたい」と報告。一方、島外訓練時や駐屯地警衛時など供血協力ができない勤務があることへの理解を求めた。

 

登録者に電話連絡する任務を担う大島地区消防組合の泊智仁名瀬消防署長は、「夜間の電話を嫌がる登録者がいるのも事実。供血協力の可否を返事しやすいアプリの導入を検討してほしい」と提案した。

 

奄美中央ロータリークラブの上堀内ちあき会長は「62年前に血液を運んできた自衛隊機が(名瀬の)らんかん山に墜落した事故発生時、生後2カ月。現場近くに住んでおり、火災に遭あった。血液搬送の悲劇を繰り返さないためにも奄美大島に血液備蓄所が必要」と意見を述べた。