紬職人がオンラインで説明 着物のやまと社員研修

2020年06月21日

社会・経済 

パソコンとスマホで全国に向けて職人の思いなどを伝えた牧理事長=19日奄美市名瀬

パソコンとスマホで全国に向けて職人の思いなどを伝えた牧理事長=19日奄美市名瀬

 全国に103店舗を展開する和服店やまと(本社・東京都渋谷区、矢嶋孝行社長)は19日、本場奄美大島紬に関する社員研修をオンラインで行った。北海道から鹿児島まで販売社員ら約700人が参加。奄美の職人とインターネットを活用したビデオ通話でつながり、製造工程や産地の現状について学んだ。

 

 やまとは1917年創業の和服専門店。社員研修は通常、現地から職人を招いて関東や関西など地域別に開催している。今年は新型コロナウイルスの影響で、初めてオンラインで実施した。

 

 奄美からは奄美市名瀬の本場奄美大島紬協同組合(牧雅彦理事長)と紬製造販売会社・美紀大島、龍郷町戸口の染色工房・金井工芸と同町浦の機屋・前田紬工芸が参加した。牧理事長は紬協組の仕事のほか、施設内にある本場奄美大島紬技術専門学院を紹介。職人たちがリレー形式でそれぞれの仕事内容を説明し、泥染めや機織りの様子、紬に対する思いなどを伝えた。

 

約700人が製造工程や産地の現状について学んだやまとのオンライン研修会=19日、奄美市名瀬

約700人が製造工程や産地の現状について学んだやまとのオンライン研修会=19日、奄美市名瀬

 参加した社員からは「染色の原料が減っていると聞いたが現状は」「消費者へ伝えたいことは」などの質問が寄せられ、職人たちは「山中のテーチ木(シャリンバイ)が不足しており、対策が急務」「一つ一つ気持ちを込めて織っていることを知ってほしい」などと回答していた。

 

 やまとの乃一勝美取締役商品本部兼事業創造本部長によると、同社は今年から日本各地の産地と連携してオンライン研修を実施している。乃一本部長は「これまでは150~250人が集まり質問は挙手で行っていた。オンライン研修ではスタッフがチャット(文字による同時会話)機能で意見を集約するので、社員にとっても質問がしやすいという利点がある」と話した。

 

 同社は今後も希望する店舗ごとに、本場奄美大島紬についてより深い内容を学ぶオンライン研修を開催するという。