船便乱れ、島外出荷に影響 台風接近、適期収穫も難しく 特産スモモ「奄美プラム」
2023年06月02日
社会・経済
大型の台風2号の接近に伴い、奄美産果実の出荷に影響が出ている。収穫期を迎えた奄美大島特産スモモ「奄美プラム」は船便の乱れで島外出荷が思うように進まず、収穫後の保管が長引けば値下がりにもつながる。さらに収穫前の果実は雨風で落下するリスクから、良好な着色を待つ「適期収穫」が難しい状況だ。
奄美群島各地で雨風が強まった1日、奄美プラム主産地・大和村の湯湾釜選果場では前日に集荷した果実の選果作業が行われ、出荷を待つ箱詰め製品が積まれていた。同日予定していた「2023年産奄美プラム出発式」は中止した。
村産業振興課によると、23年産の集荷日量は先月25日以降、数百キロ単位で推移し、31日は約2トンに及んだ。担当者は「まだ青い実も多い。適期収穫は理想だが、着色を待って台風に落とされれば元も子もない。農家も頭を抱えているはず」と察する。
島外出荷は定期船鹿児島航路の運航スケジュール変更に伴い、積載状況が日ごとに変わる。上り便は31日名瀬発を最後に連日欠航。果実は選果場や港での冷蔵保管を余儀なくされている。関係者は「(台風が離れてから)まとまった量の出荷になれば、値下がりは避けられない」と肩を落とす。
JAあまみ大島事業本部によると、2日は湯湾釜選果場、奄美大島選果場(奄美市名瀬)ともに集荷を停止する。担当者は「3日には再開できると思うが、出荷については船便再開を待つしかない」とした。
県農政課は各種農作物の台風対策をホームページなどで周知。果樹については▽防風樹・施設の点検▽支柱による樹木の補強▽ハウスの固定―といった事前策のほか、事後策としては▽倒伏樹株元の土入れ▽病害に備えた殺菌剤散布▽樹勢低下を防ぐ葉面散布―などを呼び掛けている。