観衆詰め掛け、県勢勝利に沸く 奄美出身選手の親らもエール かごしま国体・相撲

2023年10月14日

社会・経済 

かごしま国体相撲競技少年男子団体予選第1回戦、熊本相手に大将戦で鹿児島の逆転勝利が決まり、歓喜に沸く観客たち=13日、奄美市の名瀬運動公園サンドーム

「会場のほとんどがお前たち(鹿児島)を応援している。自信を持っていけ」。かごしま国体の相撲競技が始まった13日、初戦を迎えた鹿児島県少年男子チームに対し、禧久昭広監督はそう激励した。その言葉の通り、会場に詰め掛けた観衆は、県勢が登場し、勝ち星を上げるたびに大きく沸いた。親類や恩師ら関係者も土俵に上がる選手の背中や表情に成長を感じつつ、懸命にエールを送った。

 

福崎真逢輝選手(樟南高2年、名瀬中卒)の応援団は名瀬中、住用相撲クラブの関係者ら数十人。客席からチヂン(奄美伝統の締太鼓)を打ち鳴らし、特製うちわを振ると、気付いた福崎選手は笑みを浮かべた。父の輝幸さん(52)=奄美市名瀬=も「地元で国体、土俵に息子。試合前から胸いっぱい」と感無量だ。

 

会場の盛り上がりが最高潮に達したのは、鹿児島が逆転勝利した対熊本戦。東西の客席を埋め尽くし、立ち見も絶えない観衆は、拍手や大声で選手たちを盛り立てた。鹿児島が中堅戦から連勝し、大将戦を制すると、会場は割れんばかりの大歓声に包まれ、ハト(指笛)も飛び交った。

 

この中堅戦で起死回生の1勝を上げた俵幸平選手(樟南高1年、龍南中卒)の父・有平さん(44)=龍郷町中勝=は名瀬で営む飲食店を臨時休業し、家族で応援に駆け付けた。「かなり緊張していたが、落ち着いた戦いぶりだった」とわが子をたたえた。

 

福崎、俵両選手はともに小学生の頃から相撲に取り組み、中学まで住用相撲クラブで稽古を積み重ねた。2人の恩師である同クラブ監督の森田次郎さん(49)は今国体、競技役員として参加。大舞台に立つ教え子たちの姿に「本当にうれしい」と笑顔で語った。

 

地元の小中学生らも会場を訪れ、小旗を振り、手をたたいて選手たちを応援。熊本との熱戦を見た小宿小6年の塩本大峰君(12)は「大きい相手に立ち向かい、苦しい状況から逆転勝ちした選手たちがすごかった。友達も盛り上がって興奮していた」と話した。