高付加価値化の可能性 徳之島町で闘牛肉セミナー
2021年03月03日
社会・経済
徳之島の闘牛の歴史や闘牛肉について学ぶセミナー「徳之島産闘牛肉の生産状況と肉質分析による新たな地域資源の創出」(鹿児島大学産学・地域共創センター主催)が1日、徳之島町生涯学習センターであった。鹿大農学部農業生産科学科畜産科学の大塚彰教授は肉質分析で、市販されている牛肉と比べ闘牛肉には高濃度の抗疲労成分が含まれていたことを報告。「闘牛肉に適した熟成方法を開発できれば、大きなアピールポイントになる」などと述べ、高付加価値化への可能性を示した。
同センターは2019年1月、闘牛肉の商品化を検討していた伊仙町西目手久集落と闘牛肉の肉質分析に関する共同研究を締結。同2月にと畜された闘牛1頭の肉を活用して、熟成期間によるアミノ酸含有量の違いなどを分析していた。セミナーは分析結果の提供が目的で、闘牛飼養者や行政関係者など約30人が出席した。
セミナーでは、伊仙町で闘牛を飼っている上木浩仁さん、闘牛の情報を長年発信している遠藤智さんもそれぞれ闘牛の飼育状況や歴史などをテーマに講演。徳之島では現在約610頭が飼育される一方、島内でと畜される数は約20頭と少なく、と畜後の枝肉価格が安価であることなどを報告した。
大塚教授は肉質分析の結果から闘牛肉の特徴について、「雄で無去勢のため筋肉量が多く、脂肪が少ないものの健康的な赤身のニーズは高い。十分熟成すれば柔らかくなり、うま味や甘味に関連するアミノ酸も増加して、硬さやまずさといった懸念を払しょくできる」と強調。
今回分析した闘牛肉には、放牧で運動している牛と同様、抗疲労成分「カルノシン」が多く含まれていたとして、「別の闘牛肉を分析してカルノシンが高濃度で含まれていれば、市場には出回っていない無去勢の雄の牛肉の希少性を含め大きなアピールになる。今後も皆さんと協力して分析を進め、必要なデータを提供したい」と話した。
講演後、出席者による意見交換もあった。