1位「県知事賞」に奄美市の栄田さん 〝花がある日常〟広めたい フラワーデザインかごしまカップ
2025年03月05日
社会・経済

賞状を手にする栄田将太さん=2月27日、奄美市名瀬
県フラワー協会主催「フラワーデザインかごしまカップ2025」の審査がこのほど鹿児島市内であり、奄美市名瀬の栄田将太さん(42)が手掛けた作品「陽春の光明(こうみょう)」が1位(県知事賞)に選ばれた。栄田さんは「今年の冬は寒かったので、心と体が温かく感じるよう思いを込めて制作した。作品や、受賞の経験を通して〝花がある日常〟の価値を上げていきたい」と語った。

フラワーデザインかごしまカップ2025で1位に選ばれた「陽春の光明」(提供写真)
同杯は、豊かな花文化の醸成や装飾技術の向上などを目的に、2002年に「フラワーフェスタ」(県花き振興会主催)の一環として始まり、今年で23回目。フリーデザイン部門があり、県内から16作品が寄せられた。
栄田さんは奄美市名瀬で生花店「H.O PROJECT(エイチ・オー プロジェクト)」を夫婦で営む。同杯への出展は4年連続で、2年目に奄美群島で初めて1位に輝いた。鮮度が命の生花。飛行機で輸送するため、気圧の変化や揺れ、預け荷物の基準に沿う工夫などで県本土からの出展者と比べハンディが生じる。
出展自体を褒める言葉を掛けてもらえることもあったが、それに甘んじることなく「ハンディを価値へ」と発想を転換。今回は、チューリップやラナンキュラス、スイートピーなど春の花を20種用いて色のグラデーションを演出。1センチ角の木製ブロックに一つ一つ色を塗って土台を作り、土台の色に合わせ花々を生けた。
日々制作依頼がある花束なども同様に、一本一本の花の特徴や個性を生かした作品作りを心掛けているという栄田さん。受験など日々の出来事に奮闘する息子たちに挑戦する背中を見せたいと同杯への出展を続けている。「過去ではなく、〝今〟大人が頑張る姿に説得力があると思う。島の人たちが花に対してさらに興味を持つきっかけにもなればうれしい」と話した。