サンゴと歩む未来へ 群島リーフチェックサミット 喜界島 喜界、与論両町長も登壇

2025年05月15日

社会・経済 

活発な意見が交わされた奄美群島リーフチェックサミットの公開シンポジウム=13日、喜界町

第2回奄美群島リーフチェックサミット(日本自然保護協会主催)が13、14の両日、喜界町で開かれた。同町役場で13日夜にあった公開シンポジウム「サンゴでひらくシマの未来」には町民ら約60人が来場。研究者に加え、隈崎悦男町長、田畑克夫与論町長が登壇し、サンゴを生かした地域づくりについて活発に意見を交わした。

 

リーフチェックは世界規模、同一手法で行われる市民参加型のサンゴ礁調査活動。同サミットは群島内のリーフチェック関係者が集い、情報共有や交流の場として昨年与論町で初めて開かれた。シンポジウムは活動の地域還元を目的に一般(オンライン含む)にも公開された。

 

シンポジウムでは東京大学大学院農学生命科学研究科の安田仁奈教授が「南西諸島を中心としたアオサンゴ群集について」と題して基調講演。これまで一目一科一属一種と考えられていたアオサンゴに少なくとも3種が存在することや、同じ種でも集団ごとに生息域が限られ遺伝的な違いがあることなど最新の研究成果を紹介。サンゴは海の生き物の中でも未知な部分が多く、現場で知見を蓄積する重要性を訴えた。

 

喜界、与論の両町長や喜界島サンゴ礁科学研究所の渡邊剛理事長、鈴木倫太郎氏も加わったパネルディスカッションでは、文化や農業、観光など幅広い分野でサンゴと暮らしの関わりや展望が語られた。

 

隈崎町長は「島に残る都会にない魅力を再認識し、説明できるようになることが重要」と呼び掛け、観光協会時代に長年リーフチェックに携わった田畑町長は「サンゴは島民の共有財産で観光客にとっても大事。守って資源として活用したい」と述べた。サンゴ研から喜界島でのリーフチェックにサンゴ留学の高校生が参加したことの紹介などもあり、教育に関する議論も多かった。

 

来場した喜界町の大喜龍子さん(75)は「パネルディスカッションを聞いて、(現場を大切にする)安田教授の話と結び付いた。子どもの頃は潮だまりで貝や小魚を取ったが最近はそうした場所も減っている。経験できないと興味を持たなくなるのが心配」と話した。

 

同日はシンポジウムのほか、関係者で喜界島のサンゴ礁地形の視察や、群島内でリーフチェックを行う与論島、奄美大島(瀬戸内、龍郷)、喜界島での調査結果の共有などがあった。