チップ工場閉鎖へ 大島唯一も事業継続できず 宇検村

2020年12月09日

社会・経済 

 

12月に閉鎖されることとなった宇検村のチップ工場(2011年4月撮影)

12月に閉鎖されることとなった宇検村のチップ工場(2011年4月撮影)

 宇検村須古にある奄美大島唯一のチップ工場を運営する三富興業(古川雄三代表取締役、鹿児島市)が、12月で工場を閉鎖することが分かった。8日の宇検村議会一般質問で村が明らかにした。

 

 村によると、今年7月末に同社から工場を閉鎖するとの報告があった。島の林業に大きな影響を及ぼしかねないと、県大島支庁や奄美大島森林組合も交え協議し、同社に事業継続の要請や他の企業への譲渡も依頼したという。

 

 9月中旬には事業継承の意向を示す企業もあったが辞退され、11月に三富興業から工場を完全に閉鎖するとの申し入れがあった。村は宇検村企業立地等促進条例に基づき、原状回復をして指定工場等事業廃止届を提出するよう通知した。

 

 同社は閉鎖理由について、奄美大島が国立公園化したことで木材を伐採する場所が限られてきたことや、手続きが煩雑になったことなどを挙げたという。南海日日新聞の取材に対し同社は「関係者には直接説明しており、コメントは差し控えたい」としている。

 

 加工の過程で出る樹皮を使用し、堆肥を生産している村の第三セクター元気の出る公社の堆肥センター(宇検村須古)は、今後は瀬戸内町から木くずを購入し、堆肥生産を継続する。

 

 元山公知村長は「今後新規に林業を展開していきたいと意欲のある会社もあるようだ。事業計画を精査し、林業の活性化が図られるよう支援していく」と話した。