消毒用エタノール代替に

2020年05月02日

社会・経済 

手指の消毒に利用できる奄美スピリッツ73=1日、奄美市名瀬の奄美大島開運酒造営業本部

手指の消毒に利用できる奄美スピリッツ73=1日、奄美市名瀬の奄美大島開運酒造営業本部

 奄美大島開運酒造(本社・宇検村湯湾、渡慶彦代表取締役)は1日、奄美黒糖焼酎を再蒸留した73度の高濃度エタノール製品「奄美スピリッツ73」を発売すると発表した。手指の消毒に使用できる商品で、奄美群島の酒造メーカーでは初。渡代表は「万が一消毒液が入荷できなくなった場合でも地元で生産できる体制が整った」と話した。一部を奄美大島5市町村へ寄贈し、一般販売は今後の状況を見て検討する。

 

 消毒用エタノールの全国的な需要高騰で厚生労働省は4月10日、医療機関などが代替として酒類製造者の販売する高濃度エタノール製品を用いても差し支えないとの通達を出した。

 

 区分が「スピリッツ」に当たる45度以上の商品の製造には焼酎などとは別の製造免許が必要になるが、国税庁は今回消毒に用いる高濃度エタノール製品に限り特例的に製造免許を付与している。

 

 これを受け、同社は自社で貯蔵する原酒をもとに商品開発に着手。27日に製造免許を取得し、製造から販売までの体制を整えた。

 

 焼酎を消毒用に転用することについて渡代表は「蔵人が丹精込めて造った酒であり葛藤はある」と述べつつ、「地元酒造メーカーとして大切な命を守るためにできることをしようと決断した。新型コロナが一日も早く収束することを願っている」と語った。

 

 商品は300㍉㍑入りで税別1100円。価格には酒税219円を含む。一度に製造できるのは1300本ほどという。

 

 同社は今後、島内の各自治体を通して商品の一部を医療機関や福祉施設などへ無料提供し、要望などを受けて生産計画を進める。