牛の熱中症防げ 牛舎屋根に石灰塗布 知名町畜産振興会青年部

2022年08月06日

社会・経済 

牛の熱中症予防のため、牛舎の屋根に石灰を塗布する知名町畜産振興会青年部の部員ら=5日、知名町

【沖永良部総局】知名町畜産振興会青年部(神里隆樹部長)は5日、牛の熱中症予防のため、依頼のあった町内の畜産農家の牛舎屋根に石灰を塗布する取り組みを始めた。沖永良部島では近年、熱中症が原因とみられる死亡件数が増えており、同会は「熱中症で死ぬ牛を1頭でも減らしたい」としている。

 

知名町農林課によると、過去3年間の熱中症以外の原因も含む牛の死亡件数は19年度76頭(沖永良部島全体255頭)、20年度86頭(同283頭)、21年度101頭(同294頭)。

 

牛舎屋根への石灰塗布は、牛舎内の温度を下げる効果があるとされている。以前から農家への呼び掛けは行っていたが、高齢化などで個人ではできない農家もあり、今回、同青年部が塗布作業を買って出た。

 

この日は申し込みのあった4件の牛舎で作業。牧野久子さん(66)の牛舎では約1時間かけて屋根に石灰を塗った。牧野さんは「石灰塗布は初めて。その効果は聞いていたが、自分たちではできなかった。熱中症で死んでしまう牛もいたので、今日は塗布してもらってよかった」と話した。

 

神里部長(43)は「子牛だけでなく、親牛の死亡例も聞いている。子牛が死ぬと、競りに出る頭数が少なくなり、魅力がない市場になる。町、さらには島全体の魅力にも影響する。1頭でも熱中症で死なないようにしたい」と話した。

 

沖永良部畜産部会が昨年7月の快晴日に行った調査によると、石灰塗布前と塗布後の木造牛舎内では最高気温で2度以上の差が出たほか、夜間の温度も低下するなどの効果があった。

 

同青年部では石灰塗布について、基本料1万5千円(専用の石灰2袋40キロ分、1袋増えるごとに5千円増し)で申し込みを受け付けている。