特産品開発で起業、支援の輪 喜界の魅力届けたい 地域おこし協力隊の谷川さん

2023年05月04日

社会・経済 

3月に喜界島の魅力を発信する会社を設立した谷川理さん(左)と共同代表の藤倉周さん=島内で撮影(提供写真)

喜界町地域おこし協力隊の谷川理さん(40)は3月、地元特産品に付加価値を加えた新商品開発、販売を行う「HOWBE(ハウビー)」を設立した。7月から喜界島初となるクラフトビールなどの商品販売を計画しており、谷川さんは「島外では知られていない喜界島の魅力的なモノ・コト・ヒトすべてにスポットライトを当て、喜界島の魅力を届ける会社にしたい」と意欲を見せている。

 

谷川さんは2021年5月に着任。喜界島観光物産協会の事務職員として、観光客の案内や物産展、島内での各種イベント対応、情報発信など島のPR業務のほか、映画館のない喜界島での映画上映など島を盛り上げるイベントを開催している。

 

会社設立のきっかけは人口減少だ。今年4月1日現在の島の人口は県推計で6177人。現在のペースで減少が続くと20年後に4千人を割り込むとの試算が出ている。この1年間で奄美大島―喜界島の航空路線が減便となり、島内唯一のタクシー会社もドライバー不足で存続危機に陥るなど、島の衰退を実感した。

 

「移住して約2年。長く住みたいと思う一方、島の未来に不安を感じた。島を衰退させないため、早く行動に移そう」と起業を決意した。

 

新商品開発は品質や味の良さに加え、島外に知られていない島内産農産物に着目。喜界島の在来かんきつ「シークー」を使ったクラフトビール、炭酸飲料など3種類の開発に着手している。

 

原料調達や販売拠点とする旧飲食店の改修費のため、4月19日からクラウドファンディングを始めた。「特産品づくりを通じた喜界島の関係人口増加」を掲げ、目標の金額200万円を3日間で達成したことから、原料の長期保存が可能な瞬間冷凍機の導入のため目標金額を400万円に再設定した。5月2日現在、支援者数は200人を超え、支援額も300万円に迫るなど支援の輪は広がっている。

 

谷川さんは「支援に感謝するとともに、支援者の期待も実感している。価値のあるサービスやおいしい商品を島外に提供し続け、島の関係人口や来島者、移住者の増加につなげたい。最終的な目標は島の人口1万人」と力を込めた。

 

クラウドファンディングは6月20日まで。寄付者には金額に応じ、新商品のセットなどの返礼品を発送する。