稲作復活、特産品開発へ 農業の横浜さんら陸稲栽培 徳之島町井之川

2019年05月31日

社会・経済 

 【徳之島総局】徳之島町井之川のほ場で5月から、陸稲栽培が始まった。稲作復活と収穫米を活用した特産品開発を目指す地元農家の試みに住民も賛同。地域一体となった取り組みで3カ月後の収穫を心待ちにしている。

 

 陸稲は畑で栽培する稲。畑に直接種を植えるため、水稲の移植栽培のように苗の育成や田植えなどの作業が省力化できるメリットがあり、国内でも一部地域で栽培されている。

 

田植え唄に合わせ、陸稲の種をまいた「陸稲祭」(提供写真)

田植え唄に合わせ、陸稲の種をまいた「陸稲祭」(提供写真)

 陸稲栽培を企画したのは同町井之川の農業横浜寛さん(66)と同町亀津の会社員で、横浜さんが農業の師匠と仰ぐ直俊字さん(56)。2人は2014年から志していた水稲は栽培適地がなく断念したが、陸稲の存在を知り挑戦を決意。地元の焼酎蔵元と提携し、収穫した米を使った甘酒の商品開発を念頭に、甘酒づくりに適した種を用意した。

 

 26日は同町井之川の横浜さんのほ場で種をまくイベント「陸稲祭」があり、集落住民ら約50人が参加。「井之川夏目踊り保存会」(保和廣会長)の田植え唄に合わせ、約30分かけて2アールの畑に種をまいた。今後は横浜さんが所有するタンカン畑約30アールの一部でも、2アールの畑と同様に有機農業による陸稲栽培を始めるという。

 

 横浜さんは「このプロジェクトには有機農業や自給自足、町おこしなどいろんな意味合いがある。徳之島の人たちに刺激を与える動きになると確信している。将来的には水稲による稲作も復活させたい」と述べた。