被告に無罪判決 奄美市女性殺人事件 鹿児島地裁

2022年11月29日

社会・経済 

【鹿児島総局】奄美市名瀬小俣町で2019年、一人暮らしの瀧田得枝さん=当時(87)=が自宅で殺害された事件で、住居侵入と殺人の罪に問われた住所不定無職の渡部円治被告(24)の裁判員裁判の判決公判が28日、鹿児島地裁であり、中田幹人裁判長は「被告が犯人である事実を認定するには合理的な疑いが残る」として、渡部被告に無罪判決(求刑懲役20年)を言い渡した。

 

渡部被告は一貫して否認しており、被告が犯人かどうかが争点だった。

 

判決理由で中田裁判長は、検察側が証拠として提出していた指紋やDNA鑑定結果について、「被告のものと認められる」と認定した上で、「犯行前に侵入し、残していった可能性を否定できない」とした。

 

事件は19年6月16日、瀧田さん宅で瀧田さんが寝室で血を流しているのを親族が発見、死亡が確認された。

 

県警は近所に住んでいた渡部被告を同年1月に発生していたコンビニ強盗未遂事件の容疑者として同年6月30日に逮捕。鹿児島地検は7月に強盗未遂罪で起訴した。

 

その後、県警は渡部被告を殺人などの疑いで同年9月11日に再び逮捕。鹿児島地検は同年10月1日に住居侵入と殺人の罪で起訴していた。強盗未遂罪は20年8月18日に懲役3年執行猶予4年の判決が出ている。