黒糖焼酎蔵元を視察 米国バーテンダーら 九州4県合同で企画 奄美大島

2022年11月09日

社会・経済 

黒糖焼酎の製造現場を見学し、発酵を促す攪拌(かくはん)作業を体験する視察参加者=8日、龍郷町の奄美大島酒造

米国で活動するバーテンダーらが8日、奄美大島を訪れ、奄美黒糖焼酎を製造する蔵元を視察した。鹿児島と大分、熊本、宮崎の九州4県合同で取り組む「米国向け焼酎輸出プロジェクト」の一環で、米国酒類市場を知るバーテンダーなど5人を含む関係者約10人が参加。黒糖焼酎の製造工程見学や担当者による説明、試飲を通じて独特の香りや味わいに理解を深めた。

 

鹿児島県販路拡大・輸出促進課によると、プロジェクトは米国カクテル市場での本格焼酎の認知度向上と販路拡大が目的。7~10日に鹿児島、宮崎両県の各種焼酎蔵元を視察し、12日は招聘(しょうへい)したバーテンダーらと各県蔵元関係者の意見交換を計画している。

 

一行は8日、龍郷町の奄美大島酒造を訪問。杜氏(とうじ)ら製造担当者による案内の下、製造現場を見学した。同社銘柄は原料を奄美大島産の黒糖にこだわっており、担当者は「上品な甘さが特徴的。品評会でも『ラム酒に似た味わい』として高い評価を受けている」と伝えた。

 

さらに一連の製造工程を見学する中で、発酵状況ごとの香りや色合いも確認。溶かした黒糖と米麹をかき混ぜて発酵を促す攪拌(かくはん)作業を体験した。見学後は同社の代表銘柄や長期貯蔵していた黒糖焼酎を試飲し、感想や海外市場での可能性などについて語り合った。

 

米国で蒸留酒やカクテル専門の企業支援、人材育成などを仕事とするドン・リーさん(41)は「黒糖焼酎は雑味のない甘さが個性的で魅力。唯一の産地である奄美の風土を含め、ほかの焼酎との違いが伝われば、米国市場でもチャンスは十分にある」と話した。

 

9日は奄美市名瀬の弥生焼酎醸造所、宇検村の奄美大島開運酒造を視察する。