7月上旬までの摘果を 津之輝、生産技術研修会 大玉化や製品率向上法など学ぶ 奄美大島

2022年06月29日

社会・経済 

製品率や秀品率の向上に向け摘果時期や方法などを学んだ津之輝生産技術研修会=28日、奄美市住用町

かんきつ類の新品種として奄美大島で導入が進む「津之輝」の生産技術研修会(県園芸振興協議会大島支部果樹技術部会主催)が28日、奄美市住用町の元井農園であった。県大島支庁農政普及課と県農業開発センター大島支場の担当者が、7月上旬までの摘果による大玉化や製品率向上などのメリットを紹介。参加者は効果的な摘果方法について理解を深めた。

 

同部会によると、津之輝は2014年から本格的な植栽が始まり、21年には栽培面積が20ヘクタールを超えた。生産量は20年に31・1トンまで増加したが、同年は着果数の増加で小玉傾向になり、病果など外観が悪い果実が増えたため製品率や秀品率が低迷。着果数増による樹勢の衰えもあり、21年の生産量は19・8トンに落ち込んだ。

 

研修会には生産者や行政関係者ら約70人が参加した。農政普及課と農業開発センター大島支場の担当者は、20、21年に実施した摘果時期による玉階級比率の変化や果皮障害の発生割合などについて説明。摘果を7月と8月に実施した場合、8月では小玉割合が高く、果皮障害が多発したことなど説明し「7月上旬までの早期摘果で果皮体質の強い大玉を生産することで、秀品率が上がり収益増につながる」と強調した。

 

その後摘果の実演があり、7月上旬時点で横径35ミリ以下の果実や今後の成長で互いに傷つけ合う可能性のある近接果を除去した。小玉化を防ぐため、太陽光が当たりにくく着色面で劣る樹木の中心部や地面に近い裾部で主に摘果するよう呼び掛けた。

 

同部会の浜田恭平部会長は「タンカンは徐々に仕上げ摘果をしていくのに対し、津之輝は最初の摘果が肝心。摘果時期の目安とされる7月上旬まで期間もないので、生産者の皆さんは摘果をしていただき、いい果実を生産してほしい」と期待を寄せた。