「相撲と奄美へ恩返しを」 千賀ノ浦親方が講演 笠利町出身の元里山関 県奄美パーク

2023年12月12日

スポーツ

四股を踏む際に意識する点を説明する千賀ノ浦親方=10日、奄美市笠利町

奄美市笠利町用安出身で大相撲尾上部屋の千賀ノ浦親方(42)=元里山関、本名里山浩作=の講演会が10日、笠利町の県奄美パーク屋内イベント広場であった。「奄美から大相撲へ 私の相撲人生」と題し講演。相撲を始めた幼少期から現役時代を振り返り「ただただ、相撲が好きだった。やってきたことに一つも無駄はなかった。人生においてなんでも取り入れ体験することは、遠回りではなく目標を達成する近道」と約80人の来場者へ語り掛けた。

 

講演では幻のしこ名「里朝花」や幼少期の相撲大会で獲得した木箱入りのそうめんがうれしかったことを話し場を和ませた。幕内で初めての勝ち越しが懸かった高安関との一番や、幕下転落後、把瑠都関の言葉を受け初心に返り稽古に励んだことなどを当時の思いを交え語った。「自分の心と体に向き合い続けた」という稽古法にも触れ、基本の「四股」「すり足」「てっぽう」の重要性を強調した。

 

「勝つ意味はあるのか」と自問自答しながら土俵に上がったという現役最後の取組は「勝負が決まるまではスローモーションのようだった。相撲人生の集大成に感じた」と振り返った。現在は尾上部屋付きの親方として力士の指導、育成に励む。「奄美に生まれ、相撲に出合い、応援に支えられ『力士・里山』が作り上げられた。心から感謝している。奄美に恩返しをしていきたい」と語った。

 

講演後は来場者から「強くなるにはどうしたら?」などの質問が寄せられ「優しさの中に強さがある。一人ひとり個性があり、誰にも負けない自分の得意技を作ることが自信につながる」とアドバイスした。

 

講演後、親方と記念撮影をした瀬戸内町の禧久藏之助君(10)は「諦めないところがすごいなと思った。(自分も)四股をがんばりたい」と笑顔で話した。