鹿城西、甲子園交流試合へ 奄美出身3選手も歓喜
2020年06月11日
スポーツ
「やっと憧れの甲子園の土が踏める」「前向きに努力してきた思いが報われた」│。新型コロナウイルスの影響で中止となっていた春の選抜大会(センバツ)に代わる甲子園での交流試合の開催決定を受け、出場が決まった鹿児島城西高校(日置市)の部員たちから喜びの声が上がった。所属する奄美大島出身の3選手も安堵(あんど)と喜びの表情を見せていた。
同校は昨秋の県大会で準優勝し、九州大会で4強入り。センバツ出場を決めた。1954年の創部以来、春夏通して初。ところが3月、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大会が中止に。5月には夏の全国高校野球選手権大会と地方大会も中止が決まった。
県高校野球連盟は5日、夏の甲子園地方大会の代替試合を今月下旬から県内各地で行うことを発表。これとは別に、今回の交流試合は8月、センバツ出場が決まっていた32校が甲子園に招待されることになる。
10日、鹿児島城西高のグラウンドで秋武達朗校長が監督や選手に交流試合の出場決定を報告した。佐々木誠監督は「1試合だけでも聖地でプレーできることをうれしく思う。生徒たちには一生の宝物になるだろう」と感謝し、古市龍輝主将(3年)は「努力は必ず報われると監督に言われ、信じて練習してきた。夢の場所に立てることが本当にうれしい」と喜んだ。
同部には奄美大島出身の田代優晟(3年)=朝日中卒、長隆稀(2年)=古仁屋中卒、芳拓海(2年)=同=の3選手も在籍している。
田代選手は、今春卒業した兄・優翔さんが同部に在籍していた影響で、兄弟での甲子園出場を目標に進学した。兄と出場する夢はかなわなかったが、「次の夏こそ甲子園へ行け」という兄との約束を果たす。「(相次いだ大会の中止で)目標が見えなくなり本当につらかった。きょうの決定を聞いて3年最後の夏に憧れの舞台に行けることが本当にうれしい」と笑顔を見せた。
長選手と芳選手は共に古仁屋中の同級生。元プロ野球選手の佐々木監督の下で甲子園を目指したい、と同校への進学を決めた。長選手は「甲子園を目指してここまで来ている。甲子園で両親に頑張っている姿を見せたい」と話し、芳選手は「3年生とまた野球ができるのがうれしい。まずはベンチに入って全力で試合をしたい」と意欲を見せた。
春、夏と甲子園の中止の報に何度も涙をのんだ田代選手の父・克明さん(61)は「聖地に立てるだけでもうれしいこと。兄も喜んでいる。できれば球場で応援したい。息子たちの活躍する姿が楽しみ」と笑顔。長選手の父・浩己さん(50)は「試合ができることに感謝し、甲子園では悔いのないように練習の成果を発揮してほしい」、芳選手の父の義範さん(42)は「貴重な経験で喜ばしいこと。知らせを聞いて私もうれしい。試合を通じて3年生との思い出も深めてほしい」とエールを送った。