ミロコマチコさん特別展 トークイベントで開幕 奄美海洋展示館

2023年07月18日

自然・気象

ゲストの3人がそれぞれの立場から海について語り合ったトークイベント=17日、奄美市名瀬の海洋展示館

奄美大島在住の画家・絵本作家ミロコマチコさんの特別展「海とわたしたち~みえないものの気配を感じ取る」が17日、奄美市名瀬の奄美海洋展示館で始まった。初日は「海の日」に合わせたトークイベントがあり、ミロコマチコさんと奄美大島出身のプロサーファー碇山勇生さん、九州大学大学院工学研究院生態工学研究室の清野聡子准教授がそれぞれの立場から身近な海の魅力や自然との向き合い方、世界的な課題などについて語り合った。

 

イベントはミロコマチコさんが今夏出版する絵本「みえないりゅう」(ミシマ社)の発売に合わせ、アウトドア用品などを製造、販売するパタゴニア社が主催。トークイベントには親子連れなど77人が参加した。

 

まず、清野さんが「身近な海で今起きていることは地球全体につながっている」というテーマで講話。異常気象や海洋汚染は地球規模の問題だと説明した上で、「科学ではまだ完全に把握できない大きな生態系のつながりやローカルな気象予報を、地元の人が経験則で知っていたりする。自然環境とともに昔からの言い伝えや生活の知恵も大切にしてほしい」と話した。

 

ミロコマチコさんは大阪府出身で、2019年に奄美大島に移住。奄美で生活するうちに自然の中の「目に見えない存在」への意識が強くなったと述べ、「見えないものを探るという点でアートと科学は似ているところがある。(世界的な課題解決に向けて)絵本が思いを共有するための架け橋になれば」と話した。

 

龍郷町出身の碇山さんは幼少期から日々海と接してきた生活を振り返り、「台風は恐ろしいが、大きな波というギフトをくれる存在でもある。怖さも含めて自然から感じ取ったものが自然への敬意につながっている」と語った。

 

母親と参加した大島高校2年の井村碧さん(16)は「いろいろな視点から海に関する話が聞けてとても面白かった。海洋や地球科学に関心があり、進路を考える上でも役に立った」と話していた。

 

特別展は8月20日まで。海洋展示館1階にミロコマチコさんの絵本のパネルを展示する。開館時間は午前9時半~午後6時(最終入館は午後5時半)。入場料は高校生以上500円、小中学生300円、1歳以上の幼児100円。