台風通過も降雨ゼロ 糖業関係者、キビの潮風害を懸念 沖永良部・与論

2018年07月13日

自然・気象

台風による強風にさらされる沖永良部島北部海岸沿いのサトウキビ畑=10日、和泊町国頭

台風による強風にさらされる沖永良部島北部海岸沿いのサトウキビ畑=10日、和泊町国頭

 10日に奄美地方南部を強風域に巻き込みながら沖縄・先島諸島周辺を西へ進んだ台風8号。同日の最大瞬間風速は沖永良部島で18・5㍍、与論島で21・1㍍を観測し、太平洋岸を中心に高波が押し寄せたが、降水量は両島ともゼロ。糖業関係者からは「風台風」によるサトウキビの潮風害を懸念する声が出ている。

 

 沖永良部さとうきび生産対策本部と与論島製糖㈱与論事業所によると、台風通過後、島内のほ場で葉の裂傷や倒伏などの被害はほとんど見られていない。

 

 一方、11日に島内のほ場を見て回ったという生産対策本部の担当者は「東部のほ場を中心に今後、島内の比較的広い範囲で潮風害の影響が表れる心配もある」と指摘。「キビの葉をなめるとしょっぱいぐらい。台風通過後まだ散水していないほ場も見られる。早めに散水し、付着塩分を洗い流してほしい」と呼び掛けた。

 

 与論島製糖の光富広次長は「台風7号でも多少の潮風害はあったが、葉先がやや変色した程度。今回もそれほど深刻な影響はないと思うが、最後に雨が降ってから10日以上たつ。農家にはこまめなかん水をお願いしたい」と話した。

 

 和泊町国頭でサトウキビを栽培している中田武士さん(86)は「潮風害は心配だが、特に水まきはしていない。散水器具もなく自然任せ。雨を期待しているが、しばらく降りそうにないね」と話していた。

 

 名瀬測候所によると、奄美地方は今後1週間、晴れか曇りで降水確率10%の日が続く見込み。