新種ニゲミズチンアナゴ大島海峡で発見

大島海峡で撮影された新種の「ニゲミズチンアナゴ」の群れ=藤井琢磨氏提供

大島海峡で撮影された新種の「ニゲミズチンアナゴ」の群れ=藤井琢磨氏提供

 奄美大島と加計呂麻島を隔てる大島海峡で2016年に採取されたチンアナゴが、専門家の調査で新種だと分かった。台湾国立海洋生物博物館特別研究員の小枝圭太氏らが調査して標準和名を「ニゲミズチンアナゴ」と名付け、8日に発行されたニュージーランドの学術誌「Zootaxa」に新種記載論文を発表した。小枝氏らによると、奄美大島沿岸での魚類の新種確認は12年に同じく瀬戸内町で見つかったアマミホシゾラフグ以来とみられる。

 

 チンアナゴの仲間は温暖な海域を中心に世界中の砂泥底に生息する。これまでに17種類が確認されている。

 

 「ニゲミズチンアナゴ」は、体中に薄茶色の水玉模様があり、えらぶたの上には白い斑紋があるのが特徴。鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センター奄美分室特任助教の藤井琢磨氏が16年1月に大島海峡で写真を撮影し、「新種の可能性がある」と判断。小枝氏らとともに現地調査を続け、同年11月11日に水深約30メートルの海底で個体採取に成功した。

 

 論文の主筆を務めた小枝氏によると、採取した個体は体長約70センチ。他種の2倍近くあり、模様だけでなく、ひれや骨格の形態などもこれまでに確認されているチンアナゴと違い、新種であることが分かった。

 

 ニゲミズチンアナゴの和名は、遠くからはゆらゆらと揺れる蜃気楼(しんきろう)の一種「逃げ水」のように見え、近づくと姿を消すことが由来という。小枝氏は「チンアナゴの中ではかなり大型。非常に神経質で警戒心が強く、近づくとすぐに海底の巣穴に逃げ込む。20回も現地調査を行ったが、採取に成功したのは1個体だけ」と説明した。

 

 藤井氏は「研究者やダイバーが世界中で撮影したチンアナゴの写真を調べた結果、(ニゲミズチンアナゴが)沖縄県宮古島やフィリピン、インドネシアなどにも分布している可能性があることも分かった」と話した上で、「群れが確認されたのは奄美大島沿岸だけで、生態など未知の部分も多い。今後も奄美の海から面白い生物が発見される可能性がある」と期待した。

採取個体の頭部拡大写真=小枝圭太氏提供

採取個体の頭部拡大写真=小枝圭太氏提供