固有種ウケユリ盗掘か 監視体制強化へ 奄美大島南部の山中

2019年05月29日

ウケユリが盗掘されたと見られる跡=28日、奄美大島の山中

ウケユリが盗掘されたと見られる跡=28日、奄美大島の山中

 奄美大島南部の山中で28日までに、絶滅の恐れのある奄美固有のウケユリが盗掘されたとみられる跡が見つかった。環境省によると、現地は奄美群島国立公園の中で最も規制が厳しく、全ての植物の採取が禁じられている特別保護地区内。同省と関係機関はパトロールを増やすなど監視体制を強化する方針だ。

 

 ウケユリは奄美大島周辺の島と徳之島に分布。開発や盗掘で数が減り、同省のレッドリストで、ごく近い将来絶滅の危険性が極めて高い「絶滅危惧ⅠA類」。県は保護条例で採取を禁じており、違反者には1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる。

 

 島内5市町村で構成する奄美大島自然保護協議会のパトロール員の男性が27日、ウケユリが自生していた現地の3カ所で掘り跡を発見。環境省奄美群島国立公園管理事務所の千葉康人世界自然遺産調整

専門官と関係機関の職員、パトロール員の山下弘さん(67)らが28日、現地周辺の盗掘状況を確認した。

 

奄美固有のウケユリ

奄美固有のウケユリ

 現地の近くでは2017年6月にもウケユリ2株の盗掘が確認されている。山下さんは「奄美大島有数のウケユリの群生地だが、全体的に数が少なくなっている」と相次ぐ盗掘に懸念を示し、「奄美の宝という認識が不足している。貴重な植物がたくさんあることを知ってもらうために、住民への周知が必要だ」と話した。

 

 同島のウケユリは6月中旬ごろに開花期を迎える。関係機関は今後、週末も含めパトロールを強化する。千葉専門官は「いっそう気を引き締めて警戒を強めたい」と話した。