西古見にクルーズ船誘致を/瀬戸内町、県に支援要望

2018年01月11日

政治・行政

大型クルーズ船寄港地誘致が検討されている瀬戸内町西古見集落。手前の湾が候補地=9日

大型クルーズ船寄港地誘致が検討されている瀬戸内町西古見集落。手前の湾が候補地=9日

 国土交通省が大型クルーズ船の寄港地開発に関して、奄美9カ所を候補地に挙げた調査結果を受け、瀬戸内町はこのほど、県に誘致実現に向けて支援を求める要望書を提出した。町側は結果公表後、独自に調査を進め、町内の候補地3カ所中、西古見集落の池堂地区を最適地として選定。世界自然遺産登録を見据え、「自然環境に最大限配慮し、他のモデルとなる計画を国、県、町で構築していきたい」としている。

 候補地は世界最大の22万㌧級クルーズ船の寄港を想定。▽係留施設の設置水深が12㍍以上▽船舶の回頭域(直径722㍍の円)を確保▽静穏度が高い▽養殖場など漁業への影響が軽微▽サンゴ礁など環境への負荷が小さい▽近くに一定のビーチなど観光資源がある―など6項目を条件としたもの。

 町は、池堂地区が同6項目の条件を十分に満たしているとして、西古見集落で2回の説明会を開いて調査結果を報告し、住民の意見を聞いた。同集落と各種団体から誘致実現に向けた取り組みを求める要望書を受け、昨年12月、県に支援を要請した。

 鎌田愛人町長は「はっきりとした誘致決定はまだだが、実現すれば、地元にレストランや土産店などができ、関連する産業が発展、雇用が生まれれば人口増につながる。住民が懸念することを少しでも解消していけるよう、国や県と協議しながら進めていきたい」と話した。

 西古見集落は奄美大島最西端に位置する29世帯36人の小さな集落。大島海峡に面し、三つ連なる小島「三連(さんれん)立神(たちがみ)」に沈む夕日や池堂地区に広がる白い砂浜、戦跡など豊富な観光資源がある。

 茂節子区長(73)は「町からの説明を受けて集落にメリットがあると感じた。およそ9割の住民から誘致に賛同する署名をいただいている。(誘致実現で)雇用が生まれれば、集落に住む人が増えるのでは」と期待し、「皆さんが一番心配するのは自然環境への影響。環境を壊さないということは今後も訴えていきたい」と強調した。

 県観光課は「県としてもクルーズ船誘致を含め、インバウンド(訪日外国人旅行)の取り込みに力を入れている。瀬戸内町からの要望については今後検討を進めたい」としている。