自然の保全価値強調 WWFジャパン、見直し求め要望書 クルーズ船寄港地計画誘致で

2019年06月20日

政治・行政

鎌田愛人瀬戸内町長(右)に要望書を手渡すWWFジャパンの東梅貞義自然保護室長(中央)=19日、瀬戸内町役場

鎌田愛人瀬戸内町長(右)に要望書を手渡すWWFジャパンの東梅貞義自然保護室長(中央)=19日、瀬戸内町役場

  瀬戸内町が同町西古見・池堂地区への誘致を検討しているクルーズ船寄港地開発計画に関して、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン、東京)の東梅貞義自然保護室長ら3人は19日、同町役場を訪れ、鎌田愛人町長に開発計画の見直しなどを求める要望書を提出した。同法人が4月に西古見で行った環境調査結果を踏まえ、同地域の自然の保全価値を強調。「地域の方も大事にしている自然が決して損なわれることがないよう、きちっと計画を吟味するべき」などと訴えた。

 

 WWFジャパンは2月にも同計画に反対する緊急声明を発表している。

 

 要望書では緊急声明の内容を踏まえ、改めて▽科学的評価に基づくキャリング・キャパシティー(環境容量)の設定▽開発に関する詳細な情報開示、検討過程の公表の徹底▽住民参加と合意形成を経た持続可能な観光等の利用計画の策定―の3項目を掲げた。

 

 東梅室長が「自然に手を付けること全てが反対だとは思っていない。地区の皆さんの気持ちに寄り添い、町の皆さんの期待に応えられるような観光を目指し、各地の事例を集めている。ぜひ情報提供したい」と述べると、鎌田町長は「前回の声明、調査結果、先ほど述べられたことも含めて重く受け止めている。地域の素晴らしいものを残すのはとても大事。検討協議会での議論の結果、WWFジャパンの調査内容も踏まえ、今後の在り方については判断したい。協力いただきたい」と応じた。

 

 WWFジャパンが行った環境調査、情報収集の結果によると、池堂地区の湾内では、80%以上の被度(海底面に占める生きたサンゴの割合)のサンゴ礁のほか、国が指定する希少種のオオナガレハナサンゴ、海底に幾何学的な円形の巣を作ることで知られるアマミホシゾラフグなどの生息が確認されたという。

 

 同内容の要望書は19日付で、国土交通省、環境省、県、奄美群島広域事務組合にも発送した。