航路週4便へ減便案 船員不足で運航体制見直し 住民説明会に反発や戸惑い 喜界町

2025年05月11日

社会・経済 

鹿児島~喜界~知名航路に就航しているフェリー「きかい」=10日、鹿児島市

喜界島を経由する唯一の定期航路である「鹿児島~喜界~知名航路」が6月1日以降、現在の週5便から4便へ減便となる可能性があることが10日までに分かった。深刻な船員不足による運航体制の見直しが急務となっているためで、同航路を運航する奄美海運(本坊隆幸代表取締役)は7日、喜界町役場で島民対象の説明会を実施。運航計画の変更に理解を求めたが、住民からは「生活への影響が大きい」などの反発や戸惑いの声が相次いだ。

 

同説明会は、船員不足の現状と運航計画の変更案について住民に説明し、意見を聞くことなどが目的。住民約200人が参加した。

 

メディアには非公開。会場で配布された資料や出席者によると、現在は週3便で運航していた「フェリーあまみ」を週2便に減便。「フェリーきかい」は現在の週2便体制を維持するが、知名港への寄港は休止を検討している。

 

現在は土日を除く平日の夕方に鹿児島を出港しているが、変更案は月、火、木、金の夕方に鹿児島を出港。喜界島には翌日(火、水、金、土)午前4時半ごろ到着するとしている。

 

本坊社長は、今年に入り退職者が増え、ほとんど休みが取れない乗組員がいる現状を説明。「4便に減らすことで乗組員が働きやすい環境を整えたい。今後もこの航路を永続的に安定して維持していくため」と運航計画の変更に理解を求めた。

 

質疑応答では、物流への影響の大きさなども踏まえ、住民から「農家にとっては死活問題」といった指摘 や、「島外の病院へ通っている人への影響もある」「きょう初めて説明され、来月からの減便はあまりにも急で驚き、戸惑っている」などの意見があった。

 

「今後、状況が改善すれば週5便に戻すのか」との問いに本坊社長は「乗組員が働きやすい環境が整い、状況が変わり週5便に戻れる場合は戻したいが、現時点では非常に厳しい」などと答えた。

 

同社によると6月からの運航計画変更に向けて現在、国、県と協議を進めている。5月中に開かれる予定の鹿児島~喜界~知名航路対策協議会で同航路の運航計画の変更について協議される見通し。

 

喜界町企画観光課は「住民説明会での意見も踏まえ、住民代表である議会とも協議の上、喜界町としての意見を(対策協議会に)持っていきたい」と述べた。