長引くコロナ禍・現場から 人手が不足、疲弊する職場

2022年02月07日

地域

来園者に手指の消毒や検温、名簿の記載などを求め、感染防止対策に取り組む特養施設「愛寿園」=4日、龍郷町

新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者が増える中、奄美大島では職員が欠勤し、人手不足に陥る事業所が増えている。特に感染リスクが高いとされる高齢者の介護を担う介護事業所などは、入念な感染症対策への労力と人手不足の二重苦で、職員にかかる負担は増している。

 

龍郷町浦にある特別養護老人ホーム「愛寿園」(入所者50人)では1月、職員6人が同居家族の新型コロナ感染などによる濃厚接触者となり、職場に出られなくなった。

 

当初は感染者と同居する家族が濃厚接触者として自宅待機する期間は、感染者の療養期間終了翌日からさらに14日間と定められており、愛寿園では人手不足が深刻化した。

 

全国で新型コロナの変異株「オミクロン株」による感染が急拡大する中、社会機能を維持するため、1月下旬には国の方針で濃厚接触者の待機期間が短縮。待機中の職員らも仕事に復帰できたが、いまだ町内で感染者の確認が続く中、4日現在も2人がコロナの影響で仕事を休んでいるという。

 

同園の重枝佑介施設長(40)は「一時期は(職員の)シフトを組むのにも本当に苦労した。職員の皆さんの頑張りで何とか人手不足のピークを乗り切れた。だが、島内や町内の感染状況を考えると今後も油断はできない」と語る。

 

同園では法人(社会福祉法人竜泉会)全体で感染症対策をルール化。地域や職場の感染状況に合わせて0~4のフェーズ(段階)を設け、それに沿った感染症対策に取り組んでいる。

 

現在、猛威を振るうオミクロン株は重症化のリスクが低いとされる半面、感染力は強く、施設内での警戒感はこれまでと変わりないという。

 

「コロナ禍の約2年間、職員は『利用者らの命を守る職場』との使命感と緊張感を保ち、感染症対策にも力を入れて仕事をしてくれているが、影響が長期化するほど職員の負担も増していく。そろそろ収束してほしい」と重枝施設長。人手不足が、介護現場をはじめコロナ禍で苦慮する各事業所の状況に追い打ちをかけている。

厚労省は今月2日、同居家族が新型コロナに感染した濃厚接触者の自宅待機期間について「感染者の発症日か、感染対策開始日の遅い方の翌日から7日間発症しなければ解除」できるよう見直しを発表した。

 

一方、龍郷町など一部地域では新型コロナの感染拡大で保育園が休園し、子育て世帯が仕事を休み、人手不足に陥っている事業所もある。