クロウサギの事故防げ 世界自然遺産推進共が勉強会 新たな対策に向け意見交換 奄美大島

2023年09月30日

新たな対策に向け意見が出されたアマミノクロウサギ交通事故防止勉強会=29日、大和村の環境省奄美野生生物保護センター

奄美群島の環境保全と地域振興の循環モデル確立を目指す「世界自然遺産推進共同体」(代表・久見木大介日本航空鹿児島支店長)は29日、大和村で国の特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故防止勉強会を実施した。近年増加傾向にあるクロウサギのロードキル(交通事故死)について、実態と事故防止の取り組み状況を把握し、新たな対策に向けて意見を交わした。

 

同共同体は、自然・文化の適切な活用による持続可能な奄美群島づくりに貢献しようと2019年8月に発足。県内外の66企業・団体が参加し、▽希少種、自然環境の保護▽世界自然遺産に関する普及啓発、調査・研究▽密猟・密輸防止対策▽行政による普及啓発などへの参加・協力▽SDGs(持続可能な開発目標)の推進による社会の持続的発展への貢献│などに取り組んでいる。

 

勉強会は大和村の環境省奄美野生生物保護センターであり、県内外から会員13人が参加。同省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長らが特定外来生物マングースの防除事業と、山中で野生化した猫(ノネコ)の捕獲状況を説明した。各事業が進む一方、奄美大島で昨年107件のロードキルが確認されたと報告があり、啓発運動や減速帯の設置、通行規制、道路への侵入防止ネットなど現在行っている事故防止対策が紹介された。

 

参加者はアマミノクロウサギについて▽夜行性▽開けた場所で排せつする習性などから道路に出てくる▽繁殖期の秋から春にかけて事故が増加する│などの特徴を確認。今後の対策に向け、「住民向けの啓発を強めるべき」「代行運転やタクシー業者へも協力呼び掛けを」「事故の発生要因はさまざまだが、場所ごとにターゲットを絞って対応を考える必要がある」などの意見が出された。

 

意見交換後は村道マテリア線へ移動し、ロードキル対策の看板や侵入防止ネットなどを視察した。