クロウサギ輪禍相次ぐ 奄美大島、今年41件に
2021年11月06日
瀬戸内町の町道網野子峠線で3日、国の特別天然記念物アマミノクロウサギ2匹の死骸が相次いで見つかった。交通事故に遭ったとみられる。奄美大島で今年確認されたクロウサギの事故は41件となり、過去最多だった昨年の50件に迫るペースで増えている。環境省は「12月にかけて事故が多い。夜間の運転には十分注意してほしい」と呼び掛けている。
3日午前1時半ごろ、国道58号の奄美市住用町役勝から網野子峠線に入って約500メートル付近で、環境省奄美野生生物保護センターの職員が道路に横たわっているクロウサギを発見し、回収した。午前7時半ごろには約2キロ離れた地点でも地域住民が死骸を発見し、保護センターに連絡した。
同センターで死骸を解剖した結果、2匹はいずれも骨盤などを骨折しており、車にひかれた可能性が高い。網野子峠線では2020年にクロウサギの事故が9件発生。今年は2匹を合わせて計6件と事故が多発している。
事故の続発を受けて、環境省と瀬戸内町、瀬戸内署の関係者らが4日夜、網野子峠線の2カ所でドライバーにチラシを配布し、交通事故防止を呼び掛けた。
今年7月に世界自然遺産に登録された奄美大島では、クロウサギの交通事故の増加傾向が続き、希少種の保全に向けた大きな課題となっている。特に繁殖期を迎えて活発になる秋から冬ごろは事故が多く、環境省は9月中旬から事故防止を啓発するキャンペーンを展開していた。
同センターの阿部愼太郎所長は「今年はすでに過去2番目に多い件数となっている。網野子峠線でも相変わらず事故が続いており、島に住んでいる皆さんの協力が不可欠」と述べた。