シロアゴガエルの侵入防げ 自然守る「目」養う講座 環境省奄美野生生物保護センター

2023年08月20日

会場近くで在来種のカエルを観察する参加者ら=18日、大和村

奄美海洋生物研究会(興克樹会長)のワークショップ「見分けよう! 島のカエルとシロアゴガエル」が18日夜、大和村の環境省奄美野生生物保護センターであった。与論島と徳之島への侵入が確認されている特定外来生物「シロアゴガエル」について、木元侑菜調査研究員(32)が特徴や生態を解説。「身近にいる生き物たちに親しみ、生態系を脅かす外来種の侵入を見張る『目』になって」と参加者に呼び掛けた。

 

シロアゴガエルは東南アジア原産、体長5~7センチ。口の上側の白い縁取りと指先の大きな吸盤が特徴で、オスは「ギィ、グィッ」と単発的に鳴く。高い場所に上り、春から秋にかけて直径5~8センチの卵塊(泡巣)を池や水面上の木の枝、壁面などに産む。

徳之島で捕獲されたシロアゴガエルの標本=18日、大和村

 

国内では1960年代に沖縄島中南部で生息を初確認後、急激に分布を拡大し2000年代にはほぼ全域に定着した。奄美群島では与論島で13年に県内で初めて侵入が確認され、徳之島でも数年前から定着していることが分かった。

 

ワークショップは地域で問題意識を共有してシロアゴガエルの拡大防止を図る目的で、環境省が同会へ委託した。木元さんは奄美在来のカエルとシロアゴガエルの鳴き声や見た目の違いを説明。外来種定着による生態系変化の危険性を指摘し、「怪しいカエルを見掛けたら関係機関に連絡を」と呼び掛けた。

 

座学の後は会場周辺の湿地帯で調査をし、リュウキュウカジカガエルやハロウエルアマガエルなどを観察した。

 

奄美市笠利町から参加した佐仁小4年の小勝陽斗君(10)は「外来種のカエルがすぐそばの徳之島にも侵入していると知って驚いた。カエルを見つけたら教えてもらった方法で見分けたい」と話していた。

 

環境省奄美野生生物保護センターはホームページ上で「奄美カエル鳴き声図鑑」(URL・https://kyushu.env.go.jp/okinawa/awcc/frog-call.html)を公開している。外来生物を発見したら電話0997(55)8620同センターへ。