ヒメタツナミソウ観察報告会 喜界町

2022年04月06日

ヒメタツナミソウについて理解を深めた報告会=3月27日、喜界町役場

喜界島に自生する固有植物のヒメタツナミソウについて理解を深める観察報告会(喜界町教育委員会主催)が3月27日、町役場多目的ホールであった。同町教委の松原信之主査が、花の希少性や特徴などを解説し、保護の重要性を強調。会場を訪れた約50人の町民は、保全への取り組みや重要性などを学んだ。

 

ヒメタツナミソウはシソ科の多年草。葉の長さは5~9㍉ほどで、白色や淡紫色の房状の小さな花を咲かせる。喜界町は2021年に花と自生地を町の天然記念物に指定し、保護や周知を図ってきた。

 

松原主査は19年からヒメタツナミソウの観察を続けている。報告会では「文献や研究者の記録によると昭和50年代には淡紫色の個体が多く自生していたが、現在は白色の個体が多く、紫色の花は伊実久でのみ確認されている」と説明。

 

分布地の特性として▽泉の周りなど湿気がある場所▽午後から日が当たる斜面や樹木などの西側▽直射日光がわずかに入る場所▽石灰岩の上▽草刈りなどで人の手が適度に入っている場所-を挙げた。現在、島内15カ所で自生が確認されているという。

 

松原主査は「集落や人々とのつながりによって守られてきた植物。この植物をもっと知ってもらいたい。世界中でここにしか咲かない花。みんなに自慢してみんなで守っていこう」と呼びかけた。

 

また、環境省奄美野生生物保護センターの後藤雅文離島希少種保全専門官は「希少野生動植物の保全について」と題し講話。国内の野生生物について、開発行為や捕獲・採取などで減少したり絶滅危惧種になったりすることに触れ、「多様な生物に私たちの暮らしが支えられている。『ここにしかないこと』が地域の魅力にもなる。ヒメタツナミソウも地域のみなさんで守っていってください」と述べた。

 

会場を訪れた女性は「ヒメタツナミソウは45年ほど前に知人に話を聞いて知っていたが、貴重な植物だという認識はなかった。最近は除草剤を使う人も多いので心配。大切に守っていきたいと思った」と感想を話した。