ユネスコへの報告書案を了承 奄美・沖縄の世界自然遺産科学委
2022年10月06日
世界自然遺産
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産地域科学委員会(委員長・土屋誠琉球大学名誉教授、委員13人)の会合が5日、那覇市の沖縄県青年会館であり、国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ提出する報告書案をおおむね了承した。昨年7月の奄美・沖縄の世界自然遺産登録で、世界遺産委員会が要請した課題4項目への回答を示した。
科学委員会は学識経験者らで構成。奄美・沖縄の自然環境の適正な保全管理について専門的な助言を行う。会合にはオンラインを含め関係者約100人が出席した。
報告書案は▽観光管理▽(絶滅危惧種の)ロードキル(交通事故死)対策▽河川再生▽森林管理-の各課題について、関係機関と専門家でつくる特別チームが対応をまとめた。
奄美大島と徳之島では、林業関係者と県大島支庁が「自然環境に配慮した森林施業方針」を新たに策定する方針。委員から「事業者と話し合いながらしっかり成果を出していくことが大事だ。緩衝機能を維持しながらサステナブル(持続可能)な林業をぜひやってほしい」と助言があった。
土屋委員長は「(要請された)4項目について議論を重ね、うまく内容をまとめられた」と報告書案を評価。今後は関係機関と地元側が連携した取り組みが重要になるが、「『世界自然遺産』という名前が先行して、具体的な中身が理解されていない部分もある。地元の人が理解する機会をつくるため、次のステップへ進めたい」と述べた。
報告書は今月12日に開かれる奄美・沖縄関係12市町村長などで構成する地域連絡会議での合意を経て、12月1日までにユネスコへ提出する。