ルール違反の車両減少 三太郎線、GW利用状況
2022年05月22日
世界自然遺産
環境省は21日までに、夜間に野生生物を観察するナイトツアーの増加を受けて車両規制を導入した奄美市住用町の市道三太郎線周辺について、今年のゴールデンウイーク(GW)の利用状況(速報値)をまとめた。4月29日から10日間の通行台数は158台。そのうち予約をしていない車両は26台(16・5%)だった。現地にスタッフを配置する日を設けたことで、昨年のGWよりルール違反の割合は減ったが、スタッフがいないと違反者が増える傾向がみられた。同省は「ルールを知らずに来る人もいる。引き続き周知を図っていく」としている。
車両規制は、世界自然遺産登録に伴う来訪者の増加を見据えて、アマミノクロウサギなど希少動物の交通事故や、車両の追い越しをめぐるトラブルなどを防止するのが目的。官民の関係機関でつくる夜間利用適正化連絡会議が、昨年のGWなどの実証実験を経て10月に試行的に導入した。
三太郎線を通行するには、ウェブサイトなどからの予約が必要で、通行台数を1時間4台に制限。規制に法的な強制力はなく、利用者に協力を求める自主ルール。大型連休や夏休みなどには現地でスタッフが対応する。
GW期間中は初日と5月3~6の5日間、環境省や県、奄美市、世界自然遺産推進共同体の民間企業など、連絡会議の関係者が現地で予約の有無などを確認した。利用台数は現地調査と自動撮影カメラの映像から集計した。
通行した車両台数は、実証実験を行った昨年のGW(4月29日~5月9日の11日間)の153台よりわずかに増加。そのうち予約をしていない車両は、スタッフを配置しなかった昨年の51台(33・3%)から大幅に減少した。
今年も現地でスタッフが対応しなかった5月2日は25台のうち8台(32%)、同7日は14台のうち4台(28・5%)が予約をせずに通行していた。スタッフが予約をしていない人にその場で予約を促したり、利用の自粛を求めたことで、ルール違反が減ったとみられる。
環境省奄美群島国立公園管理事務所の田口知宏国立公園管理官は「予約をせずに通行する車両は減少傾向にあるが、まだ一定の未予約者がいる。島内外の人に積極的に周知を行い、適正なルールの運用に努める」と話した。